日曜日の夜、エヴァンジェリスト氏は、久しぶりに夫婦二人で、近くの居酒屋に外食しに行った。炭火焼の店である。
夫婦共に飲酒しないのに、珍しくエヴァンジェリスト氏は巨峰サワー、マダム・エヴァンジェリストはレモン・サワーを頼んだ。二人は、あっという間に顔を赤くした。
そして、お通しのクリーム・シチューを食した後、食べ物は先ず、サラダ、チョリソを頼んだ。
「チョリソって何?」
マダム・エヴァンジェリストが訊いた。
「チョリソはチョリソだよ」
「いわしのソーセージよ。思い出したわ」
「ふううん(?)」
馬鹿な夫婦である。
次に、巻貝とホタテを頼み、満足した後に、夕食セットメニューから、エヴァンジェリスト氏は焼鳥丼、マダム・エヴァンジェリストはつみれ鍋を頼んだ。
「美味しい!」
普段、意見が合うことのない二人が声を揃えて云った。
.......そして、満腹な上に、馴れぬアルコールを飲み顔を火照らした二人は肩を並べ、ゆっくりゆっくり歩いた。
「星が奇麗だね」
寒風の空を見上げ、エヴァンジェリストが云った。
「薄っぺらい野郎め!」
マダム・エヴァンジェリストが言葉を吐き捨てた。新幹線を止めようとした際の語気並であった(新幹線を止める、新幹線に追い付いた!?)。
ポンポン!エヴァンジェリスト氏が突き出た腹を叩いて云った。
「いや、厚いぜ!」
幸せな夫婦である。
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