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2022年9月6日火曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その82=最終回]

 


「え?臭うって?」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏からのiMessggeに戸惑いを見せた。


「君が図書館から借りた『mRNAワクチンの衝撃』という本だ」

「え!?ええ…」

「臭くてたまらんかっただろう?その本は、アイツが、夜通し、エロ画像、エロ動画を見ては、フンガフンガした部屋においてあっただろうし、フンガフンガした後、その手で、洗いもせず、触っただろうからなあ」

「ああ、そう、あの方がお触りになったのですね!」

「栗の花の匂いではなかったか?」

「ですからあ、私、『栗の花の匂い』がどんなものか知りませんが、でも、とっても臭くてゲロを吐きそうで、でも、なんだかアソコが疼くような匂いがしたような…」

「ほほー、アレが君には『臭い』ではなく『匂い』だったのか。それにしても、あんな臭い本を(いやま、ワシは嗅いどらんから、臭いに決っとる、と思っているだけなんだがな)、君はまあ、よくも手にして読めたもんだ」

「手にして読んだだけではありません」

「臭くて、ゲロは吐かずとも、目眩でクラクラしたのか?」

「確かに、クラクラしました。でも、あの本をギュッと頬に擦り付けました」

「はああ?正気か?」

「そして、ええ、正直に申します。私、舐めました」

「はあ?」

「ええ、舐めたんですう」

「その『すう』は止めろ。何を舐めた、というんだ?」

「勿論、『mRNAワクチンの衝撃』ですう」

「へ?...へ?」

「でも、そこはそれ、図書から借りた本ですから、節度を持って、でしたが、ええ、私、『mRNAワクチンの衝撃』を舐めました」

「き、き、君は正気か?あいつが、フンガフンガした手で触った本だぞ」

「ええ、だから、舐めたんですう!」





「げっ!アイツ、確かに『ナンパ老人、危機一髪!』だ」

「いえ、あの方は、図書館前で若い女性にナンパされましたが、理性で躱されたのです。申し上げましたでしょ、内心、『へっ?』と驚いた様子が見えたものの、そこは少しも騒がず、『ハイ、そうなんです」とだけお答えで、何事も無かったように荷物をトランクに積んで走り去られたのです」

「いや、アイツ、今も、『ナンパ老人、危機一髪!』だ」

「え?」

「君だ。君がいつか、いや、遠からず、アイツを『ナンパ』するだろう」

「え?私が?」

「今日をもって君を解任する!君をビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員の任から解く!」

「え、お待ち下さい…!」

「ワシは、アイツの友人だ。それも世界でただ一人の友人だ。アイツを危機に晒したままにしておく訳にはいかん!」


と、エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員とのiMessageを切り、股間を抑え、トイレに向いながら、呟いたのであった。


「まあ、アイツが、あの特派員に『ナンパ』されて回春できるなら、それもいいんだろうが、そんなことより、今は、オシッコだ、オシッコだ。あの特派員の報告は長過ぎる」



(おしまい)





2022年9月5日月曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その81]

 


「アイツが触った本なんだぞ」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員宛のiMessgge

で、エヴァンジェリスト氏は忌まわしいものについて語るような口調を使った。


「当然ではありませんか。触らずにどうやって本を読むのですか?」

「アイツが、自分の手で触ったんだぞ」

「普通、足で触りはしないでしょう」

「アイツは、夜な夜な蠢いているんだぞ」

「蠢いているかどうかは知りませんが、『mRNAワクチンの衝撃』を図書館から借りて帰られた日も、夜通し、あの方の部屋には電気が点いていました」

「アイツは、その部屋で、鼻をフンガフンガ鳴らしているんだ」

「フンガフンガ、ですか?」

「そうだ。興奮しているんだ」

「そうでしょうねえ。『mRNAワクチンの衝撃』は、まさに日本人にとっては衝撃、と云ってもいい良書ですからねえ」

「アイツが、一晩中、『mRNAワクチンの衝撃』とやらを読んでいたと思っているのか?」

「違うんですか?」

「奥様が寝た後、独り、アイツが『秘密基地』と称する自室に籠って、エロ画像、エロ動画を見ては、サカリのついた犬のように鼻をフンガフンガ鳴らしているんだ。『mRNAワクチンの衝撃』とやらを読んだ後も、そうしたに違いない




「まさかあの、大学教授以上に大学教授のような紳士が!?」

「君は大学教授が紳士だと思っているのか?」

「ではないのですか?」

「臭わなかったか?」



(続く)




2022年9月4日日曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その80]

 


「買ってません!」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏宛のiMessageで、それ以上はないという程に断言した。


「借りたんです!」

「は?借りた?君は、アイツから、『mRNAワクチンの衝撃』という本を借りたのか?それは、特派員としてはあってはならん行為だぞ」

「私、あの方とそんな関係ではありません、まだ」

「まだ?」

「図書館で借りたのです」

「ああ、金をケチったんだな

「ぶ、ぶ、無礼な!違いますう!」

「君の住んでいる町の図書館にも『mRNAワクチンの衝撃』は置いてあったのか」

「違いますう!」

「その『う!』は止めんか。なんだか気持ち悪いぞ

「あの図書館で借りたんですう」

「へ?アイツは、確か、市の図書館で本を借りていたはずだぞ。君は、アイツと同じ町というか同じ市に住んでいたのか?」

「そこは個人情報ですので」




「まあ、図書館によっては、他の市町村の住民でも貸出ししているところもあるし、特に、近隣の市町村の住民ならオッケーなところもあるはずだからな。だが、あの図書館には、『mRNAワクチンの衝撃』は複数冊置いてあったのか?」

「違います。一冊だけです」

「その一冊は、アイツが借りていたんじゃないのか?」

「あの方が、返却されて直ぐに、借りたのです。返却されるところも見ていました」

「じゃあ、アイツが読んだ本を、それも直ぐに、君が借りたのか?大丈夫だったか?」

「はああ?何が大丈夫なのですか?」



(続く)




2022年9月3日土曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その79]

 


「図書館の司書の一人が云うにはだなあ」


と、エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員宛のiMessageで、ビエール・トンミー氏の図書館での所業を明かそうとしていた。


「アイツは、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』で、フランス国旗を掲げて民衆を導くマリアンヌのはだけた胸を見て、興奮していたらしいんだ」

「それは、あくまで想像に過ぎないと思います!」

「では、アイツが、その図書館で『ヘンタイ美術館』を借りたのも想像の産物だというのか?」

「『ヘンタイ美術館』の何がいけないのですか!?」

「司書たちは、『ヘンタイ美術館』を借りたアイツのことを『変態』と噂しているぞ」



(参照:司書は見た!(後編)



「『ヘンタイ美術館』って、そんな本ではありません。美術の素人でも美術の世界に入って行き易いように、普通とは違った切り口から美術を開設解説した本なんです!アーティストのちょっと常人とは違う姿から美術を解説した本なんです!立派な美術の入門書です!」

「君は、読んだことがあるのか?」

「ええ、あの方が、座右の書のようによくお持ちでしたので、私も買って読んでみました。あの方は、間違うことなき知性の持ち主でいらっしゃいます。だから、『mRNAワクチンの衝撃』もお読みになろうと、図書館でお借りになられたのです」

「ああ、そういうことか。『フットトランクオープナー』に感心した若い女性は、アイツのベンツ『Eクラス』のダッシュボードに、その『mRNAワクチンの衝撃』という本が置いてあるのを見て、アイツのことを金持ちの医者とでも勘違いして、アイツを『ナンパ』しようとした、と君は思っているんだな」




「ちょっと間違えていらっしゃいますが、ほぼそんなところです」

「ちょっと間違えている?」

「ええ、『mRNAワクチンの衝撃』は、医学書ではないんです」

「新型コロナワクチンに使われるメッセンジャーRNAの解説本ではないのか?」

「あの若い女性もそう思ったとは思います。でも、あの本は実際には、新型コロナワクチン開発のドラマなんです!新型コロナワクチンをファイザーと共同開発したドイツのベンチャー企業のビオンテック社の話なんです。何が凄いかというと、中国のコロナのニュースがヨーロッパに届いた金曜日の週末にコロナのことを知って、土日に会社の全リソース(ベンチャーといっても何億ユーロの資産と従業員数千人の企業です)をワクチン開発に振り向ける決定をして(その時点でヨーロッパの感染者は一人なんですよ!)、翌週の終わりにはドイツの規制当局、提携企業のファイザーとの協業、複雑な開発過程、試験課程を決めて開発に邁進したんです。僅か一週間で、普通は何ヶ月も何年もかかる準備を終えて開発を始めたんですよ。これが日本の会社でしたら、会議、会議、と開発決定に膨大な時間がかかるでしょうし、厚生労働省の協力を得るためにもまた何ヶ月もかかるでしょう。これが僅か一週間で完了したのです。日本の企業はコレだから、海外の最先端の企業に敵わないのです。だから私たちはファイザーやモデルナのワクチンしか使えないのです」

「ほほー、そうなんだ。ワシもサラリーマン時代、社内会議が大嫌いだった。それにしても君は、その本の内容に詳しいな。ひょっとして、君はその『mRNAワクチンの衝撃』という本を買ったのか?」



(続く)




2022年9月2日金曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その78]

 


「なんですか!?その含み笑いは!」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏からのiMessageに不快感を示した。


「君は、あの図書館の女性司書たちが噂していることを知らんのだ」

「想像はできますよ。『素敵なおじさまっ!』とでも云っているのではありませんか」

「確かに、紳士だとか、西洋美術史を研究する大学教授ではないか、という者もいるようではあるな」

「ああ、そうでしょう、そうでしょう」

「だがな、アイツが図書館の美術コーナーで『名画で読み解く「世界史」』の表紙を見て鼻息を荒くしていたところを目撃した司書もいるんだ」

「そりゃあ、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』は名画ですからね」

「君と同じで、アイツがドラクロワの芸術に興奮していたと思う司書もいるにはいたようだ」

「なんですか、また勿体をつけたような云い方をしてえ」

「アイツが立ち去った後に、ティッシュが落ちていたそうだ」

「あの方、風邪をお召しになっていたのではありませんか?それとも花粉症でいらしたか…」

「そのティッシュは、栗の花の匂いがしたそうだ」

「『栗の花の匂い』?どうしてそんな匂いが?栗の花の花粉症でいらしたのですか?」

「ふん!カマトトか、君は?」

「カマトトって、女性に対して云う言葉ではありませんか。まあ、私の場合…」





(続く)





2022年9月1日木曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その77]

 


「『mRNAワクチンの衝撃』です!」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏宛のiMessageに何やら誇らしげな様子を見せた。


「なんじゃ、それは?」

「あの方が、図書館でお借りになった本です。ベンツ『Eクラス』を停めていたのは、図書館前だったんです」

「ああ、あの図書館だな」

「いらしたことがあるんですか?」

「ない。が、アイツがいつも西洋美術とか西洋美術史の本を借りているところだろ。君はまだ、アイツを取材対象とする特派員になったばかりだから知らんのだな」

「さすがあの方です。高尚でいらっしゃる」

「はああ?どこが高尚なんだ?」

「だってえ、知的じゃないですか」

「そりゃ、『痴的』の間違いだ」

「いくら友人でいらっしゃるとはいえ、失礼です、あの方に対して」

「アイツはなあ、例えば、『名画で読み解く「世界史」』なんかを借りているんだぞ」

「やはり知的じゃないですか。絵画と歴史とをリンクさせた書物に興味を持たれるとは!」

「『名画で読み解く「世界史」』の表紙を知っているか?」

「何かの絵ですか?」

「そうだ。ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』だ」

「ああ、『自由の女神』の像のモデルになったっていう絵ですよね?」




「ふふふ」



(続く)




2022年8月31日水曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その76]

 


「アイツに声をかけてきた若い女性は、アイツの放つ『異臭』に立ち眩みでもしたのじゃないのか?」


というビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員宛のiMessageを送信ながら、エヴァンジェリスト氏は自らの鼻を摘まむようにした。


「確かに、何かの衝撃に身を後ろに引いたようには見えましたが、それは、あの方が、トランクにフロントガラスを拭く為のスプレーとウエスをしまい、出先から帰るべく、運転席に座ろうとされた時でした。ああ、ウエスって、布のことです」

「英語の『waste』が鈍って『ウエス』になったんだろ。『waste』は、廃棄物とかいう意味で、不要となった布切れから作ったから『ウエス』と呼ばれるようになったんだろうが、それを英語で云うなら『waste cloth』なんだろうに」

「ああん?また博識系ですか。アナタには似合いませんよ」

「ふん!で、何故、アイツは、出先の道端で『Eクラス』のフロントガラスを拭いたんだ?」

「フロントガラスが汚れていたのだろうと思います」

「であれば、自宅を出る前に拭けばいいものを、出先の道端で拭くなんて、なんだか自分の『Eクラス』を他人に見せびらかしているみたいだな」

「少し雨模様でしたから、自宅を出た後の汚れが気になられたのではないかと思います。あの方は、いつも奥様に、『視界は常に晴朗に』と仰っていますし」

「アイツ、水野晴郎はもう亡くなっているから、映画鑑賞会の司会は頼めんのにのお」




「いやあ、あなたって本当にクダラナイですねえ。『視界は常に晴朗に』したので、あの若い女性にも、はっきり見えたのだと思います」

「は?どこに、何を見たんだ?」

「ダッシュボードです」

「なんだ、ダッシュボードの上にエロ写真を置いていたのか?」

「私のあの方を侮辱なさらないで下さい!」

「へ?『私のあの方』?」



(続く)




2022年8月30日火曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その75]

 


「あれは、絶対、『ナンパ』です!」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏宛のiMessageに自らの確信を込めた。


「あの若い女性は、『フットトランクオープナー』の様子を見ていただけではないんです」

「他に、何かを見ていたというのか?アイツの股間か?」

「うげっ!アナタ、オゲレツにも程というものがありますよ。あの方の股間が、いくら立派だとはいえ…あっ」

「『ベンツは足でトランクが開くんですね』と話しかけられたんだな?」

「ええ、そうです」

「ということは、アイツに近づいてしまって、『臭い』に殺られたんだな」

「え?『臭い』ですか?」

「アイツの股間は、嘗ては、『原宿の凶器』の異名を取っていたらしいんだ」




「おお!『凶器』の放つフェロモンですね!」

「尤も、『原宿の凶器』も今は昔。今では、『昔、原宿にいた今は、小器』に成り下がっているらしい」



(参照:バスローブの男[その102=最終回]



「そうは見えませんでした。まだまだご立派なように…あ、いえ」

「成り下がったとはいえ、今は多分、フェロモンに加齢臭が混じって、ある意味、全盛期以上に強烈な『臭い』になっているのではないかと思う」

「確かに、遠くからあの方の様子を窺っている時に、何か腐ったような臭いが漂ってきたことが」



(続く)




2022年8月29日月曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その74]

 


「いいですか、あの方は、ご自分のベンツ『Eクラス』の後部、トランク下のところで、蹴りを入れる動作をしただけですよ」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏宛のiMessageに怒りを滲ませた。


「相手は、人間ではなく、ガタイの大きい『Eクラス』だから、『坐薬』を入れるにも蹴りが必要だったんだろう」

「クルマ向けの『坐薬』ってあると、本気で思っているんですか?」

「ワシは、クルマの免許は持っていないし、クルマのことは知らんが、クルマの調子が悪い時に、『坐薬』のようなカプセルを注入することはないのか?そんなものがないのに、アイツが、自分のベンツ『Eクラス』のトランク下のところで、蹴りを入れるような動作を取ったとしたら、他には、『フットトランクオープナー』くらいしか、考えられないなあ」

「むっ!アナタ、確信犯ですね!最初から、あの方が、『フットトランクオープナー』でご自分のベンツ『Eクラス』のトランクを開けたことを判っていながら、『浣腸』だとか『坐薬』だとか、オゲレツというかグロな方向に話を持って行ったんですね!」

「で、要するに、アイツは、道端で、『フットトランクオープナー』で自分のベンツ『Eクラス』のトランクを開けた時に、若い女性に『ナンパ』されというのか?」

「そうなんですう。『ベンツは足でトランクが開くんですね』と話しかけられたんです」




「その若い女性は、『フットトランクオープナー』を初めて見て、驚いたんだろう。で、それが、どうして『ナンパ』なんだ?」

「いえ、その若い女性は、トランクが足で開くことに関心があったのではなく、明らかにあの方の魅力に心を動かされて思わず声をかけたんですよ!」

「はあああ?そうかあ?」

「私だって…」

「んん?なに?で、アイツは、その若い女性に、『どうですか、一緒に車に乗ってどっかに行きますか?』とでも云ったのか?」

「いえ、あの方は、内心、『へっ?』と驚いた様子が見えましたが、そこは少しも騒がず、『ハイ、そうなんです」とだけお答えで、何事も無かったように荷物をトランクに積んで走り去られました」

「ふううん。クダラン。それのどこが、『ナンパ』で『危機一髪!』なんだ?」



(続く)




2022年8月28日日曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その73]

 


「そう、要するに、あの方は、『坐薬』をお尻の穴に入れられて悶絶したんですね?『浣腸』ならまだしも、『坐薬」でそんなプレイがあるとは『尻』ませんでした」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏宛のiMessageに珍しくダジャレを入れてきた。


「おお、君はシャレも上手くなってきたな。いいぞ、いいぞ」

「しかも、そんなプレイを、あの方、『おばさん』としたなんて。どうせなら、私…」

「君は、ホント、『プレイ』が好きだなあ。あいつは、君が想像するような『プレイ』として『坐薬』をお尻の穴に入れてもらったのではないぞ。高熱を発したのだ。それで辛くて辛くて、病院に行って、おばさん看護師に『坐薬』をお尻の穴に入れてもらったんだ」

「『おばさん』って、看護師なんですか?」

「だから云っただろ、『聖職』だと」

「いえ、アナタのことですから、てっきり『性職』のことだと。それを変換し間違えたのか、敢えて意味深な『感じ』で『漢字』を変えてみせたのかと思っていました」

「シャレはもういい」

「しかし、アナタは、あの方が、看護師に『坐薬』を入れられて『悶絶』した、とオゲレツな方向に話を持って行ったではありませんか」

「まあ、アイツは、お尻の穴に異物を入れられる苦痛で悶絶しながらも、その瞬間、同時に君が期待するような種類の『悶絶』もした可能性は否定はできんなあ」

「ああ、あの方は変態ですからねえ」

「ワシは、もう話したように、若い看護婦から『坐薬を入れてあげますよ』と云われたことがあるが、きっぱりと断った。頸部椎間板症、つまり、首のヘルニアで入院し、ベッドに横たわって首の牽引をしながも激痛に襲われていた時のことだ。どれだけ痛みがひどくても、お尻の穴に異物を入れられるのは嫌だったからな」

「あの方は、若い看護婦になら、もっと嬉々として『坐薬』を入れてもらい、もっと『悶絶』したでしょうねえ」




「おばさん看護師に『坐薬』を入れてもらって以来、アイツは、『坐薬』マニアになって、ついに自分のベンツ『Eクラス』に『坐薬』を入れる程になっていたとはなあ」



(続く)




2022年8月27日土曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その72]

 


「おお、君、勘だけではなく、センスもいいな」


と、エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員をiMessageで珍しく讃えた。


「あんな漢字を知らない奴らのことを『デンデン』(云々)することを止めることを『願ってイません』」

「いいぞ、いいぞ。大事な儀式で(ワシは大事とは思わんが)、『願ってイません』(願って已みません)なんてこと平気で云えるのは、なかなかの『シンゾー』だ」

「私をあんな漢字を知らない奴らと一緒にしないで頂きたい。お尻から入れる薬の『ザヤク』は、『座薬』ではないのですか?」

「おお、確かに、『ザヤク』が『座薬』かどうか、というのは、漢字知らずのあの2人とはレベルが違う問題であった。彼らと比較すると、君には常識というものがないのか、というのは、云い過ぎであった。申し訳なかった。そう、お尻から入れる『ザヤク』は、君の云う『座薬』も間違いではないんだろうと思う」

「『踏襲』を『フシュウ』と読んだり、『頻繁』を『ハンザツ』、『未曾有』を『ミゾウユウ』、ましてや、『云々』を『デンデン』と平気で読んでしまえるくらいだったら、私、国のリーダーになっています!」




「しかし、『ザヤク』は、本来は、『坐薬』なんだろうと思う」

「え?『坐薬』…ですか?『坐』って漢字ありましたか?」

「あるから、こうやって入力変換できているんだろうが」

「『坐』って、『座』の旧字ですか?いや、旧字って、普通、もっとややこしいものだから、略字ですか?」

「いや、『坐』と『座』は、語源的には共通するところはあるものの、本来は別の漢字らしい。『坐』は、『人』が『土』に座ることを意味しているんだそうだ。で、『座』の方は、『坐』に建物を意味する『广』(まだれ)がついて、建物の中で人が座る場所を意味している、と聞いたことがある」

「アナタ、あの方と張り合って、博識系を目指そうとしているんですか?」

「つまりだ、『坐』は動詞というか、座る行為を意味する漢字で、『座』は、名詞というか、座る場所を意味する漢字なんだそうだ。ただ、『坐』は常用漢字ではないから、『坐』と使うべきところで、『座』を使うようになっているらしい。座るようにしながらお尻の穴に入れるから、本来は、『坐薬』なんじゃないかとは思うが、今は、『座薬』でもいいんだろうと思う」

「そんなこと興味ありません!アナタは、オゲレツ系なんだから、方向性を間違えないで頂きたい。要するに…」



(続く)




2022年8月26日金曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その71]

 


「『ザヤク』って」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏宛のiMessageで、慎重に質問をする。


「お尻から入れる薬のことですか」

「そうに決まっとるであろうが」

「つまり、『ザヤク』って、『座薬』のことなんですね?」

「違う!」

「ええー、だって、『ザヤク』って、お尻から入れる薬のことなんでしょ?」

「そうだ」

「だったら、『座薬』じゃないですか」

「ああ、君には常識というものがないのかね。君は、どこかのバカを『フシュウ』しているのかね?」

「はああ?『フシュウ』?」

「ああ、『フシュウ』(踏襲)だ。あんなバカを『ハンザツ』に出してこられてもなあ」

「はああ?『ハンザツ』?」

「ああ、『ハンザツ』(頻繁)だ。あんなバカは、『ミゾウユウ』かと思っていたんだが」

「はああ?『ミゾウユウ』?ああ、『ア、ソウ』ですか」

「ほほお、なかなか勘がいいな。『アソウ』だよ。『ミゾウユウ』(未曾有)なバカは、もう一人いたんだ」

「もう、漢字が読めない奴らのことを『デンデン』しなくて結構です」




(続く)



2022年8月25日木曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その70]

 


「ま、ま、まさかやあ!あの方が、『ヤク』をしていたとは!」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏宛のiMessageで、大仰に驚いてみせた。


「君は、下手な沖縄弁で、しかも態とらしい勘違いを敢えてして『ちむどんどん』しているんだな」

「でも、打ってもらったんでしょ、おばさんに?」

「うーむ、あれを『打つ』という表現を使うのかどうかは知らんが、普通は、『入れる』という表現を使うと思うが、まあ、あの形からして、『打つ』でも間違ってはいないかもしれんなあ」




「でも、まさかあの方に、『ヤク』に手を出した過去があったとは!」

「君は、本当に誤解しているのか、惚けてみせているのか知らんが、あれも『ヤク(薬)』であることは確かだ。我慢の限界まで達して、使わざるを得なかったんだろう。ワシは、どんなことがあっても、お尻の穴に入れられるのは無理だがな」

「え!?あの方は、アレをお尻の穴に入れられたのですか?」

「そりゃ、そうだろう。しかも、おばさんに、だ。ワシの場合は、若い女性に『入れてあげますよ』と云われたんだが、それでも断った。『浣腸』同様、お尻の穴に異物を入れられるのは、とても無理だ」

「私も、お尻の穴に異物を入れられる経験は、まだありませんが、慣れれば、それはそれでいいのかもしれません」

「は?まだ?慣れれば?

「ああ、お尻の穴に打った方が、効きがいいんでしょうか?」

「おお、まさにそうだ。『ザヤク』の意義は、まさにそこにあるんだろうからな」

「え?『ザヤク』って….」



(続く)




2022年8月24日水曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その69]

 


「おお、なるほど。君の云うことにも一理はあるな」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員宛にiMessageを送りながら、エヴァンジェリスト氏は、その特派員相手に珍しく頷いた。


ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、ビエール・トンミー氏がおばさんに『浣腸』したことで悶絶したのではないか、と普通には考え難いことを云ってきたのではあったが。


「ワシら常人の理解を超えた感性をアイツら変態は持っているんだろうなあ」

「アナタが常人?ま、それは別として、ええ、そうです。あの方は、西洋美術史の研究をするふりをしながら、西洋絵画の名作に描かれた『インモー』で興奮なさる方ですからねえ」

「だが、残念ながら、アイツが悶絶したのは、おばさんに『浣腸』したからではないんだ」

「えっ!まさか、相手は、おじさん?アナタですか?」

「いい加減にしろよ!何故、ワシがアイツに『浣腸」をしてもらわないといけないんだ」

「アナタ、便秘だったんですね?」




「いや、ワシは毎日、快食快便だ」

「では、『プレイ』だったんですか?」

「ワシにそんな趣味はない!」

「はは~ん。アナタ、あの方の親友だから、仕方なく、あの方の『プレイ』に付き合ったんですね?」

「君は、馬鹿か?誰が、そんなことするもんか!」

「私だったら…」

「ワシとアイツが…ああ、そんな姿は、想像さえしたくもない!」

「私も見たくはありませんし、ああ、もう想像しただけで忌まわしい」

「アホンダラ!相手は、ワシではなく、おばさんだし、『浣腸』ではない。『ザヤク』だ」



(続く)




2022年8月23日火曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その68]

 


「相手は、おばさんだったんだ」


と、エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員宛のiMessageに、淡々として含みを持たせない云い方をすることで、相手を怒らせる程の含みを持たせたのであった。


「『相手』?『おばさん』?アナタ、またオゲレツですか?」

「無礼者!相手は、おばさんとはいえ、聖職だったんだぞ!」

「ふん!『性職』ですか?」

「無礼者!あ、いや、『性職』だって、それがちゃんとした仕事なら、無礼というは失礼だな。反省する」

「しかし、あの方が、そんな『プレイ』をお好きだったとは。まあ、あの方、普段は紳士然としてらっしゃいますが、根は変態ですからねえ」

「そうだ、アイツは変態の中の変態、変態界の王様といってもいい存在だ。だが、あれは『プレイ』じゃないぞ。もう一度云うが、アイツは、おばさんに『浣腸』をされたんじゃないんだ」

「あの方は、若い女性がお好きですからねえ。どうせ『浣腸』してもらうなら、おばさんではなく…」

「君は確信犯で読み間違いをしているようだが、おばさんに『浣腸』をされたんじゃない、という表現で否定しているのは、『おばさん』ではな『浣腸』だ」

「ええー!そうだったんですか!あの方は、おばさんに『浣腸』されたんじゃなかったんですね」

「そうだ。ようやく分ったか」

「まさか、あの方がおばさんに『浣腸』した、とは思ってもみませんでした」




「ばっかもーん!よーく聞くんだ。ワシが否定したのは、『浣腸』そのものだ。『浣腸』を『した』とか『された』という、能動、受動の問題ではないんだ。それに考えてみろ。どうして、おばさんに『浣腸』することで、どうしてアイツが悶絶するんだ?」

「だってえ、それは、あの方が変態だからでしょ」



(続く)




2022年8月22日月曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その67]

 


「アナタ、またそうやって、話を混ぜっかえすんですね!」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏宛のiMessageで相手に唾を吐き掛けた。


「どうして、あの方が、キックボクシングをなさるんですか?」

「どうしてもこうしても、アイツは、ベンツにキックをしていたんだろ?」

「ふん!あの方が、愛車ベンツ『Eクラス』にキックボクシングのようなキックをオミマイする訳ないでしょ!『Eクラス』の後部、トランクのところを軽く蹴り上げるそぶり見せただけですよ」

「おお、『Eクラス』に『カンチョー』したんだな」




「アナタっていう人は、オゲレツというか、最低の品性の持ち主ですね。あの方は、立派な大人ですよ。その辺の悪ガキみたいに『カンチョー』なんかする訳ないでしょっ!」

「そうかなあ、ワシは、アイツは実は『浣腸』が好きなんではないかと思っている」

「はああ?『浣腸』?『カンチョー』の話だったんじゃないんですか?あの方、『浣腸』されたことあるんですか?」

「いや、ないようだ」

「れ、れ、れ……」

「『浣腸』されたことはないようだが、あの時は、悶絶したらしいぞ。ふふ」

「『悶絶』?『あの時』?」



(続く)