「(いや、ビシッとスーツを着た『タイガー・ジェット・シン』なんて想像できない)」
と、ビエール・トンミー氏は、普段であれば、気にもしない事柄に囚われ、それだけ印象強く残っているサーベルを咥えて暴れまわる『タイガー・ジェット・シン』の姿を思い浮かべながら、友人のエヴァンジェリスト氏に宛て、くどくも、なぜか勝手に伏せ字になるiMessageを送った。
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「いや、アイツは、サーベル咥えた●●●や!」
「それがじゃのお、『タイガー・ジェット・シン』は、カナダで有名な紳士なんよ。日本で儲けた金を元手にカナダで事業をして大成功し、慈善活動もようけえしとるらしいんよ。日本で見たラジオ体操みたいなんを、カナダで『タイガー・フィット』いう運動として考案したんじゃと」
「えーっ、嘘やろ。『デストロイヤー』が学位を持っとるのは知っとるけどな」
「『タイガー・ジェット・シン』は、アンタと同じで二面性があるんよ。アンタも、大学教授然とした『紳士』の顔と発情して舌をまさにベロ~っと出した犬のような『変態』の顔の2つの顔を持っとるじゃろうがあ」
「『ブッチャー』もおったな。傷だらけ、血だらけ、上半身裸やった」
「まあ、殆どのプロレスラーは、上半身は裸じゃけどのお。『ミルマスカラス』も、知っとるじゃろ?」
「ああ、音楽付きや。チャウかったか?」
「試合毎にマスクを変える『千の顔を持つ男』じゃけえ、ミル(千の)マスカラス(顔)よおねえ。こんなんは、プロレス・ファンにとっては、説明するんも恥ずかしいくらいの常識じゃけどのお」
「ほおかあ。まあ、どうでもエエけど。それにしても、『タイガー・ジェット・シン』が、『善玉』かあ」
「『タイガー・ジェット・シン』は、『スポーツを通じた日本・カナダ間の友好親善・相互理解の促進に寄与』した言うことで、日本の『旭日双光章』の受章もしたん、知っとるじゃろ」
「確か、そうやったな。プロレスは奥が深いんやなあ、どうでもエエけど」
「『底が丸見えの底なし沼』じゃと云われとる。『週刊ファイト』の名物編集長の『I(アイ)編集長』の言葉じゃ」
「アンサンは、『H(エッチ)ブロガー』やな」
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「(そう云えば、アイツ、下宿で、なんか小さいプロレスの新聞を嬉しげに読んでいたなあ、あれが『週刊ファイト』か?プロレスの新聞といえば、『東スポ』だと思ってたんだが)」
と、『タブロイド判』という言葉が浮かんで来ず『小さい新聞』といった表現しか浮かばなかったビエール・トンミー氏は、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏かが、自身の上井草の下宿で、熱く熱くプロレスを語るのを冷めた気持ちで聞いていたことを思い出していた。
(続く)
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