「(『タイガー・ジェット・シン』のことは、アイツから無理矢理教えられはしたが、サーベル咥えて暴れまわる姿は、妙に印象に残っているなあ)」
と、ビエール・トンミー氏が、特段、思い出したくもない狂乱の『タイガー・ジェット・シン』の姿を思い出していると、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏から、訊いてもいないことを説明するiMessageが入ってきた。
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「アンタあ、どうして、『タイガー・ジェット・シン』がサーベル咥えとるんじゃろう、と思うたんじゃろうけど」
「思うてへん」
「サーベル咥えて暴れるようにプロモートしたんは、戦う相手の猪木じゃった、と云割れているらしいんよ」
「いらん情報や。でも、猪木は、その『タイガー・ジェット・シン』に新宿の街中で襲われたんやろう?当時の奥はんに倍賞美津子はんと買い物してた新宿の伊勢丹の前、『タイガー・ジェット・シン』が「偶然」現れて猪木を襲ったんやけど、そこに「偶然」東スポの記者がいて、記事に書いた、ちゅうのはホンマの話なんか?」
「ほうじゃ、『偶然』じゃ。この『』付がなんともいえん味があるじゃろ?」
「そんなことあらへんやろ。『タイガー・ジェット・シン』は、毎日新宿伊勢丹に行っとったんやろ。東スポの記者かて、たまたま買い物に来とったんやろ。ほなら偶然やんか」
「おお、じゃけえ、『偶然』じゃあ」
「そやろ。納得したで」
「ワシも羽田空港のANAラウンジで猪木さんに偶然会うたことあるで」
「東スポの記者がおらんかったんやろ?なんでや?」
「いや、おったかもしれんで。ワシは、気付かんかったがの」
「『タイガー・ジェット・シン』は、おらへんかったんか?」
「おらんかった。でも、『タイガー・ジェット・シン』は、紳士じゃけえ、ビシッとスーツでも着とって、会うても、ただのインド系の大富豪と見えたんかもしれん」
「はああ~ん?!チャウ、チャウ。『タイガー・ジェット・シン』は、テレビで見たことあんねん。サーベル咥えた●●●やった」
「アンタあ、ええ加減、『●●●』はやめんさいやあ」
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「(そうだ。どうしてなんだ?どうして、ボクのiMessageが、『●●●』と伏せ字になっているんだ?)」
と、ビエール・トンミー氏は、少し前から抱いて違和感に、友人のエヴァンジェリスト氏の指摘で、今更ながらに気付き、眉間に皺を寄せ、ひょっとこ唇とし、首を少し傾げた。
(続く)
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