「(だけど、予防措置とはいえ、『スエズ運河』から『スズエさん』なんて、恥ずかしい。アイツに毒されてしまってる)」
と、ビエール・トンミー氏が、満足から反省へと心を動かしていると、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏から、自らが取った予防措置が逆効果であったことを思い知らせるiMessageが入ってきた。
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「いやあ、アンタが、『スズエ』さんのこと、知っとるとは思わんかったのお」
「ちゃう、ちゃう。『スズエ』はんいう人なんか、知ってへん。『スエズ運河』と聞いて、アサンが、『スズエ』はんがどないしたんや、とボケをかましてくるやろ、と先回りしたんや」
「なんねえ、アンタ、『石川ひとみ』みたいな真似しんちゃんなや」
「おりゃ、また、訳ん分らへん名前だしてきたで。あれやろ、その『石川ひとみ』はん、『石川ひとみ』は芸名で、本名は『石川すずえ』とでもいうんとちゃうか?」
「いや、確かに、『石川ひとみ』は芸名じゃけど、本名は、今は、『山田ひとみ』らしいんよ」
「今は?」
「結婚前は、本名も『石川ひとみ』じゃったんよ。でも、『山田直毅』と結婚したけえ、今は、『山田ひとみ』なんじゃと。『山田直毅』いうんは、ギタリストで作曲家、編曲家なんじゃと。でも、『山田直毅』のお母さんは、有名な浪曲師の『天津羽衣』じゃったんじゃと」
「いらん情報や」
「で、ケツロンから云うと、『待ち伏せ』なんよ」
「どこが、『ケツロンから云うと』やねん」
「ああ、『ケツロン』まで行き過ぎたんかもしれんねえ。すまんのお」
「指の先っぽも、『すまん』とは思うてへんくせに」
「『ケツロン』の少し前から云うと、『石川ひとみ』のヒット曲が、『待ち伏せ』じゃったんよ」
「意味不明」
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「(アイツ、ボクがゲーノー界のこと、詳しくないと知ってるくせに)」
と、ビエール・トンミー氏は、相手の意向を無視して、こちらに眼も向けず、自分のペースでゲーノー界を語るアイツこと友人のエヴァンジェリスト氏を苦々しく思う気持ちから、口の中まで苦さが充満してくるのを感じた。
(続く)
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