「(アイツと一緒に、大学受験で上京した際に、下宿に転がり込ませてもらったし、アイツもボクも、東京で浪人生活を送るようになった時にも、アイツと『ヒモくん』が住む南柏のアパートに入り浸らせてもらったが、嫌な顔一つせず、受け入れてくれたんだった)」
と、ビーエル・トンミー氏が、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏との『東京』(広い意味での『東京』)での浪人生活と、そこにいたエヴァンジェリスト氏の次兄『ヒモくん』のことを、50年も前のこととは思えず、大学浪人という不安定な状況ではあったものの、その時代に戻りたい気持ちがこみ上げてきそうになっていると、エヴァンジェリスト氏から、その気持ちを手で払いのけるようなiMessageが入ってきた。
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「あののお。なんで、『ヒモくん』のこと、思い出させるん?ワシ、辛いんじゃけど」
「いや、アンサンが、アンサンの実家の崩壊を語ってきたからやないか」
「ワシら、『タイガー・ジェット・シン』のこと話しとったんよ」
「ああ、せやったなあ。なんで、『ヒモくん』の話になったんやろ?いや、その前に、なんで『タイガー・ジェット・シン』の話をしてたんやろ?」
「しっかりしてえや。『タイガー・ジェット・シン』には、凶暴なレスラーの顔と『紳士』の顔と二面性があるいうようなことから、プロレスは、『底が丸見えの底無し沼』じゃあ、とワシが云うたら、アンタ、人間関係ドロドロとか云い出して、ワシの実家のドロドロ話から次兄の『ヒモくん』の話になったんじゃないねえ」
「アンサンとのやり取りは、なんかややこし過ぎるで」
「ワシがややこしゅうしたんじゃないじゃないねえ。ワシ、『タイガー・ジェット・シン』こと『ジャグジート・スィン・ハンス』は、関係ないけえね、云うたのに、アンタのせいで『タイガー・ジェット・シン』の話になってしもうたんじゃないねえ。しかも、『ジャグジート・スィン・ハンス』いう名前から『露天ジャクジー』いう妙な夢の話にも脱線してしもうたんじゃけえ」
「いや、ワテの方から『タイガー・ジェット・シン』のことなんか話さへんかったあ思うで」
「まあ、元々話よったことと『タイガー・ジェット・シン』とは関係なくはないんよ。ワシ、『ターバン』のこと、話しったんじゃけえ。『タイガー・ジェット・シン』は、『ターバン』巻いとったじゃろ。でも、『タイガー・ジェット・シン』のこと自体を話そうとしたんじゃなかったんよ」
「せや、せや。アンサン、『ターバン』こと云うてたんや。でも、なんで、『ターバン』やねん?」
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「(それにしても疲れるう。アイツとのやりとりは、ややこし過ぎる、と云うか、どんどん話が逸れていくから、今みたいに遡求しないと、元の話が何であったか、分らなくなる。鮭の遡上じゃあるまいし)」
と、ビーエル・トンミー氏は、自らが鮭となって川を必死になって遡上していく鮭になったように感じた。
(続く)
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