「買ってません!」
と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏宛のiMessageで、それ以上はないという程に断言した。
「借りたんです!」
「は?借りた?君は、アイツから、『mRNAワクチンの衝撃』という本を借りたのか?それは、特派員としてはあってはならん行為だぞ」
「私、あの方とそんな関係ではありません、まだ」
「まだ?」
「図書館で借りたのです」
「ああ、金をケチったんだな」
「ぶ、ぶ、無礼な!違いますう!」
「君の住んでいる町の図書館にも『mRNAワクチンの衝撃』は置いてあったのか」
「違いますう!」
「その『う!』は止めんか。なんだか気持ち悪いぞ」
「あの図書館で借りたんですう」
「へ?アイツは、確か、市の図書館で本を借りていたはずだぞ。君は、アイツと同じ町というか同じ市に住んでいたのか?」
「そこは個人情報ですので」
「まあ、図書館によっては、他の市町村の住民でも貸出ししているところもあるし、特に、近隣の市町村の住民ならオッケーなところもあるはずだからな。だが、あの図書館には、『mRNAワクチンの衝撃』は複数冊置いてあったのか?」
「違います。一冊だけです」
「その一冊は、アイツが借りていたんじゃないのか?」
「あの方が、返却されて直ぐに、借りたのです。返却されるところも見ていました」
「じゃあ、アイツが読んだ本を、それも直ぐに、君が借りたのか?大丈夫だったか?」
「はああ?何が大丈夫なのですか?」
(続く)
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