2022年9月4日日曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その80]

 


「買ってません!」


と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏宛のiMessageで、それ以上はないという程に断言した。


「借りたんです!」

「は?借りた?君は、アイツから、『mRNAワクチンの衝撃』という本を借りたのか?それは、特派員としてはあってはならん行為だぞ」

「私、あの方とそんな関係ではありません、まだ」

「まだ?」

「図書館で借りたのです」

「ああ、金をケチったんだな

「ぶ、ぶ、無礼な!違いますう!」

「君の住んでいる町の図書館にも『mRNAワクチンの衝撃』は置いてあったのか」

「違いますう!」

「その『う!』は止めんか。なんだか気持ち悪いぞ

「あの図書館で借りたんですう」

「へ?アイツは、確か、市の図書館で本を借りていたはずだぞ。君は、アイツと同じ町というか同じ市に住んでいたのか?」

「そこは個人情報ですので」




「まあ、図書館によっては、他の市町村の住民でも貸出ししているところもあるし、特に、近隣の市町村の住民ならオッケーなところもあるはずだからな。だが、あの図書館には、『mRNAワクチンの衝撃』は複数冊置いてあったのか?」

「違います。一冊だけです」

「その一冊は、アイツが借りていたんじゃないのか?」

「あの方が、返却されて直ぐに、借りたのです。返却されるところも見ていました」

「じゃあ、アイツが読んだ本を、それも直ぐに、君が借りたのか?大丈夫だったか?」

「はああ?何が大丈夫なのですか?」



(続く)




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