「いいですか、あの方は、ご自分のベンツ『Eクラス』の後部、トランク下のところで、蹴りを入れる動作をしただけですよ」
と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏宛のiMessageに怒りを滲ませた。
「相手は、人間ではなく、ガタイの大きい『Eクラス』だから、『坐薬』を入れるにも蹴りが必要だったんだろう」
「クルマ向けの『坐薬』ってあると、本気で思っているんですか?」
「ワシは、クルマの免許は持っていないし、クルマのことは知らんが、クルマの調子が悪い時に、『坐薬』のようなカプセルを注入することはないのか?そんなものがないのに、アイツが、自分のベンツ『Eクラス』のトランク下のところで、蹴りを入れるような動作を取ったとしたら、他には、『フットトランクオープナー』くらいしか、考えられないなあ」
「むっ!アナタ、確信犯ですね!最初から、あの方が、『フットトランクオープナー』でご自分のベンツ『Eクラス』のトランクを開けたことを判っていながら、『浣腸』だとか『坐薬』だとか、オゲレツというかグロな方向に話を持って行ったんですね!」
「で、要するに、アイツは、道端で、『フットトランクオープナー』で自分のベンツ『Eクラス』のトランクを開けた時に、若い女性に『ナンパ』されというのか?」
「そうなんですう。『ベンツは足でトランクが開くんですね』と話しかけられたんです」
「その若い女性は、『フットトランクオープナー』を初めて見て、驚いたんだろう。で、それが、どうして『ナンパ』なんだ?」
「いえ、その若い女性は、トランクが足で開くことに関心があったのではなく、明らかにあの方の魅力に心を動かされて思わず声をかけたんですよ!」
「はあああ?そうかあ?」
「私だって…」
「んん?なに?で、アイツは、その若い女性に、『どうですか、一緒に車に乗ってどっかに行きますか?』とでも云ったのか?」
「いえ、あの方は、内心、『へっ?』と驚いた様子が見えましたが、そこは少しも騒がず、『ハイ、そうなんです」とだけお答えで、何事も無かったように荷物をトランクに積んで走り去られました」
「ふううん。クダラン。それのどこが、『ナンパ』で『危機一髪!』なんだ?」
(続く)
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