「品のあるあの方が、シロナガスクジラなBMWに乗る姿なんて、想像できません」
と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、iMessageで、エヴァンジェリスト氏に異を唱えた。
「ワシはよくは知らんが、総てのBMWがシロナガスクジラという訳でもないだろう。控え目な『キドニーグリル』のBMWならいいのではないのか」
「しかし、どちらにせよ、『走るための車』はお嫌なんでしょう」
「ああ、君は知らないんだな。あれは、君がまだアイツを取材対象とする特派員に任命される前のことだからな」
「何かあったんですか、あの方とBMWとの間に」
「この写真を見るがいい」
「おおー!こ、こ、これはあ!?」
「伊豆らしいぞ」
「いえ、場所ではなく…」
「ああ、『5シリーズ』だ。君も知っているだろうが、BMWには、『1』から『8』までだったか、『シリーズ』という車種の違いがあるんだ。ベンツの『Eクラス』に相当するのが、『5シリーズ』らしい。アイツは、間違っても『3シリーズ』には乗らんだろう」
「ああ、『3シリーズ』って、ベンツでいうと『Cクラス』なんですね?」
「ワシは、クルマには興味はないから、よくは知らんが、『3シリーズ』と『Cクラス』とは比較対象されるらしいが、アイツに云わせると、そう単純なものでもないらしいんだ」
「え、そうなんですか?」
(続く)
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