「だって、あなたが証拠写真をお見せになったではありませんか」
と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、またもやiMessageで、エヴァンジェリスト氏に抗議した。
ビエール・トンミー氏の『浮気』相手である『みさを』という女性が実在することを、エヴァンジェリスト氏が知らないそぶりを見せたからだ。
「証拠写真?」
「先程、見せて頂いた2枚の写真ですよ」
「ああ、BMWの写真だな。BMWに『みさを』なんて、ニックネームかなんか知らんが、名前がついていたとは知らなかった」
「はあ?クルマの話なんかしてませんよ」
「何を云っているんだ。君じゃないか、アイツがベンツを蹴り上げた、と云ったのは」
「そうは申し上げましたが…」
「要するに、アイツがベンツを蹴り上げたということは、ベンツに見切りをつけ、BMWに乗り換える、ということなんじゃないのか?『メルセデス』から『みさを』の乗り換える、ということなんだろ?『乗り換える』っていうと、なんだか卑猥な感じがするがな。ふふ」
「何を想像しているんですか!?アナタって、本当にオゲレツですね!」
「そりゃ、まあ、否定はできんな」
「でも、判りました。『メルセデス』って、あの方の奥様のことではなく、ベンツのことだったんですね。私が申し上げた『みさを』は、BMWのことではありませんよ。その写真に、彼の方を一緒に映っていた女性ですよ」
「へへえ、あの女性は、『みさを』っていうのか?」
「そうなんじゃないんですか?」
「知らんなあ」
「じゃあ、誰なんですか、あの美人は?」
「通りすがりの人なんじゃないのか?」
(続く)
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