「ふふ~ん。誤魔化さないで下さい!」
と、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員は、エヴァンジェリスト氏宛のiMessageで怒りを隠さない。
ビエール・トンミー氏が、BMWを横に若い美人と収まった写真について、その美人を『通りすがりの人』ではないか、と云ってきたからであった。
「あの2枚の写真は、別の日の写真でしょ。1枚は伊豆半島に行った時のもので、もう1枚は三浦半島に行った時のものです。2回もたまたま同じ人が通りがかるものですか?」
「まあ、そういうことがないとも限らないだろう」
「しかも、ただの通りすがりの人間が、どうして、あの方と一緒に写真を撮るんですか?」
「ああ、アイツには、若い頃からスター性があるからなあ。君が云う通り、偶然ではなかったのかもしれん。あの女性は、アイツの追っかけだったのかもしれんな。アイツも気をつけんとな。ついつい、追っかけの女性と、なんてことになるとなあ」
「あ!そう、そうなんです!『ナンパ老人、危機一髪!』なんです!」
「な、な、なんだ、いきなり」
「いきなりじゃあ、ありませんよ。私、最初から申し上げてましたでしょ!『ナンパ老人、危機一髪!』って」
「ほう、そうだったかなあ」
「それをアナタが、『ナンパ』を『難破』と態と間違えてみせて、話をどんどん関係ない方向に派生させていったんじゃあ、ありませんか」
「余計な話はいい。要するに、アイツは『ナンパ』したのではなく、『ナンパ』されたんだろ?」
「ええ、そうです。あの方が、ベンツを蹴り上げているところを見て、若い女性が声を掛けてきたんです!
「アイツは、広島皆実高校の頃から、なんでもできる男だったが、格闘技の素養だけはなかったと思うがなあ、ワシに隠れてキックボクシングの練習にでも通っていたのか?」
「はああ?」
(続く)
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