【衝撃】先輩になった日
「己を見る、ということを忘れていた。ボクとしたことが……」
杉下右京的な反省の弁であった。
杉下右京の定年退職後のカイト君(甲斐亨)の「相棒」になるのではないかと噂されるエヴァンジェリスト氏が(参照:【相棒後任決定!?】成宮寛貴の新相棒?杉下右京退職?)、いつもは傲岸不遜な氏には珍しく反省をしたのである。
それは、エヴァンジェリスト氏には大変な衝撃であったのだ。
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2012年9月25日、コンフォートホテル佐賀である。
午前6:27になり、エヴァンジェリスト氏は9階の部屋を出た。1階の朝食会場に行くのである。
エレベーターに乗った。一人である。
「ふうーっ」
特に意味もなく、ため息をついた。
…….と、6階でエレベーターが止った。オジサンが一人乗って来た。エヴァンジェリスト氏は、オジサンにスペースを与える為に、エレベーター内での位置を少しくずらした。
オジサンは会釈した。エヴァンジェリスト氏も会釈で返した。礼儀正しいオジサンである。
エレベーターが1階に着いた。エヴァンジェリスト氏が、右手の掌を上にして斜め前に滑らしながら、無言ながら「どうぞ」とオジサンに先を譲ろうとした。
…….と、その時である。そう、その時であったのだ。オジサンも右手の掌を上にして斜め前に滑らしながら、そして、声を出して云ったのだ。
「センパイどうぞ」
愕然とした。エヴァンジェリスト氏は戸惑いながら、オジサンに云われるがまま、先にエレベーターを降りた。
「センパイどうぞ」
頭の中で、オジサンの声がリフレインした。
「センパイどうぞ」
確かにオジサンは云ったのだ。「センパイどうぞ」と。
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その後の朝食のことは、覚えていない。
「己を見る、ということを忘れていた。ボクとしたことが……」
そうなのだ。自分はオジサンよりオジサンなのだ。エヴァンジェリスト氏は思い知らされたのだ。
確かにオジサンは立派にオジサンであった。しかし、それ以上に、エヴァンジェリスト氏はオジサンなのであった。
オジサンは40歳代と見えた。多分、40歳代後半である。而して、エヴァンジェリスト氏は58歳である。立派にオジサンよりオジサンなのであった。
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