2012年11月10日土曜日

【衝撃】先輩になった日





「己を見る、ということを忘れていた。ボクとしたことが……

杉下右京的な反省の弁であった。

杉下右京の定年退職後のカイト君(甲斐亨)の「相棒」になるのではないかと噂されるエヴァンジェリスト氏が(参照:相棒後任決定!?】成宮寛貴の新相棒?杉下右京退職?)、いつもは傲岸不遜な氏には珍しく反省をしたのである。

それは、エヴァンジェリスト氏には大変な衝撃であったのだ。


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2012年9月25日、コンフォートホテル佐賀である。

午前6:27になり、エヴァンジェリスト氏は9階の部屋を出た。1階の朝食会場に行くのである。

エレベーターに乗った。一人である。

「ふうーっ」

特に意味もなく、ため息をついた。

…….と、6階でエレベーターが止った。オジサンが一人乗って来た。エヴァンジェリスト氏は、オジサンにスペースを与える為に、エレベーター内での位置を少しくずらした。

オジサンは会釈した。エヴァンジェリスト氏も会釈で返した。礼儀正しいオジサンである。

エレベーターが1階に着いた。エヴァンジェリスト氏が、右手の掌を上にして斜め前に滑らしながら、無言ながら「どうぞ」とオジサンに先を譲ろうとした。

…….と、その時である。そう、その時であったのだ。オジサンも右手の掌を上にして斜め前に滑らしながら、そして、声を出して云ったのだ。

「センパイどうぞ」

愕然とした。エヴァンジェリスト氏は戸惑いながら、オジサンに云われるがまま、先にエレベーターを降りた。

「センパイどうぞ」

頭の中で、オジサンの声がリフレインした。

「センパイどうぞ」

確かにオジサンは云ったのだ。「センパイどうぞ」と。

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その後の朝食のことは、覚えていない。

「己を見る、ということを忘れていた。ボクとしたことが……」

そうなのだ。自分はオジサンよりオジサンなのだ。エヴァンジェリスト氏は思い知らされたのだ。

確かにオジサンは立派にオジサンであった。しかし、それ以上に、エヴァンジェリスト氏はオジサンなのであった。

オジサンは40歳代と見えた。多分、40歳代後半である。而して、エヴァンジェリスト氏は58歳である。立派にオジサンよりオジサンなのであった。





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