誰がそんなことを信じるというのか。またしても、エヴァンジェリスト氏の妄言に決っている。
「オレハオトコダヒロイン氏が証言するなら信じます」
そんなローラククイーン13世の言葉に(自分の言葉は信じてくれないローラククイーン13世に)エヴァンジェリスト氏は怒っているが、違う意味で、私もローラククイーン13世ともあろう方が一体どうしたのかと思う。
2012年2月1日、山形県は庄内地方の鶴岡で、というか、庄内空港で、エヴァンジェリスト氏が起こしたこと(とは私は思わないが)について、エヴァンジェリスト氏自身が云うだけでは信じないが、「確かにエヴァンジェリスト氏が起こした」とオレハオトコダヒロイン氏が証言するなら信じると、ローラククイーン13世は云ったのだ。
しかし、そんなことが起きる訳がないではないか!オレハオトコダヒロイン氏が証言したとしても、私は信じない。
エヴァンジェリスト氏にどうして空を割くことができようか!?
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その日、庄内地方は豪風雪であった。地吹雪が縦横無尽に吹き荒れていた。オレハオトコダヒロイン氏は、エヴァンジェリスト氏と東京行の9:10発の第2便(ANA896便)に乗る予定であった。
荒れた天候で折り返し便となる東京からの第1便(ANA893便)が無事に着陸できるかどうかも怪しかったが、何とか到着した。
飛行機は離陸よりも着陸が難しい(危ない)。着陸できたのだから、離陸(出発)は問題ないかと思われた。
事実、折り返し便が到着したのを見て、オレハオトコダヒロイン氏はほっとした顔になった。
しかし...........「安心はできない」
空港の窓から外を見ていたエヴァンジェリスト氏が呟いた。まだまだ地吹雪の猛威は凄まじいものであったのだ。
そして、そのエヴァンジェリスト氏の言葉通り、ANA896便の出発は遅れることになった。
30分経ち、1時間経ち、そして、1時間半が経った。除雪車が滑走路を走り回るが、除雪したその跡に直ぐにまた雪が積もる。いたちごっことはこのことを云うのであろうかと思われた。
空港職員は、「JRは今のところ、動いています。ANA896便は欠航にはならない予定ですが、いつ出発できるかは分りません。お急ぎの方は....」と云って、JRで新潟経由で東京に出る為の乗換案内を配り始めた。
真面目で、その日には東京の会社に戻りたいオレハオトコダヒロイン氏は、その乗換案内の資料をもらいに行った。
「エヴァンジェリストさん、僕はJRで戻ることにしようかと......」
「待て!」
両手を躯の前で組んだエヴァンジェリスト氏が、どこかを見ながら云った。
「待て!飛ばしてみせよう!」
「はあ?」
「視界を開けさせてみせようぞ!」
「ああ、お願いします」と云ったオレハオトコダヒロイン氏の皮肉もものかは、エヴァンジェリスト氏は念じ続けた。
「そら、開けて来たぞ!」
「.................!?」
エヴァンジェリスト氏が念じ始めて程なくして(2、3分もしない内に)、気のせいであろうか、これまで見えなかった滑走路の向こうの林が見えて来たように思えた。
「ムムムムム!.........フフフ」
更に念じ続ける不敵なエヴァンジェリスト氏の笑いに呼応するかのように、視界は開け、滑走路が見えて来た。
「飛ぶぞ!今だ!今のうちだ、飛ぶのは。早くしろ」
もう、エヴァンジェリスト氏の言葉を待つまでもなかった。「今」飛べるのは誰に目にも明らかであった。
「貴方っていう人は!」
オレハオトコダヒロイン氏は、エヴァンジェリスト氏を感嘆の眼で見た。モーゼに率いられてエジプトを出ようとしていたユダヤの民のように。
モーゼが海を割ったように、エヴァンジェリスト氏は空を割いたのであった。
ANA896便は2時間遅れではあったが、無事、庄内空港を飛び立った。
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以上は、オレハオトコダヒロイン氏の「証言」を元に再現した2012年2月1日の庄内空港の様子である。
「その時、空は割けた!」とエヴァンジェリスト氏は云う。
そうだ。「空は割けた」のだ。エヴァンジェリスト氏が「割いた」のではなく、たまたま雪が止んだだけなのだ。
オレハオトコダヒロイン氏が証言しても、私は信じない。「エヴァンジェリスト」という名前に反して極めて俗っぽいエヴァンジェリスト氏に「奇跡」を起こせようはずがないではないか!
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