(【ミステリー】女房を返せ、反町隆史よ!(前編)の続きである)
茫然自失となったエヴァンジェリスト氏が気付いた時、「場面」はどこか知らない街となっていた。
自身の少し前をハハ・エヴァンジェリストが歩いていた。
「?」
疑問が生じたが、エヴァンジェリスト氏のその疑問もものかわ、精力的で恥ずかしさというものを知らないハハ・エヴァンジェリストは、街にいる人毎に声をかけていった。
「マダム・エヴァンジェリスト見かけませんでしたか?」
ハハ・エヴァンジェリストは道が分らない時、調べることはせず、直ぐにヒトに訊く人間であった。ハハ・エヴァンジェリストの息子ではあるが、エヴァンジェリスト氏にはできないことであった。
子どもの頃、直ぐにヒトに道を訊く母親が恥ずかしかった。その母親は、今は、自分(エヴァンジェリスト氏)を棄てて出て行った嫁を探し、道行く人に尋ねっていってくれているのであった。
エヴァンジェリスト氏はそんな母親のことが恥ずかしく、少し間をあけて、顔を地面に向けて、しかし、ハハ・エヴァンジェリストに付いて行った。
ふと顔を上げると、ハハ・エヴァンジェリストがマダム・エヴァンジェリストと話していた。
「あんたあ、どうしたん?」
広島弁で話しかけていた。
「ええけえ、もう戻ってきんさい」
うなだれたマダム・エヴァンジェリストはハハ・エヴァンジェリストに付き従った。反町隆史はそこにはいなかった。どうやらもう棄てられたらしい。
マダム・エヴァンジェリストはまだこちらを見ることはなかったが、エヴァンジェリスト氏は嬉しかった。「戻ってきてくれるんだ」
ハハ・エヴァンジェリストに感謝した。もう死んでいるのに、有り難かった。
..............そう、ハハ・エヴァンジェリストはもう7年前に死んでいたのだ。
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博多から長崎に向かう「白いかもめ」の中であった。
いつもは人を軽侮するような尊大な言動しかとらないエヴァンジェリスト氏が、寝汗をかき、初めてと云ってもいい弱気な姿を見せていた。
「反町ぃ.......」とうなされていたのだ。顔は苦渋で、まさに歪んでいた。
「反町がどうしたんですか?」と訊くと、夢から覚めたエヴァンジェリスト氏が、マダム・エヴァンジェリストと反町隆史との顛末、ハハ・エヴァンジェリストの活躍を語ったのであった。
普通であれば恥となることを自ら、ましてやエヴァンジェリスト氏が語る訳がないが、まだ夢うつつであり、油断があったのであろう。
何故、反町隆史であったのかは分らない。マダム・エヴァンジェリストは反町隆史ファンではない。エヴァンジェリスト氏も反町隆史との接点は殆どない。
近く、またエヴァンジェリスト氏と接点を持つと噂される「うぬぼれ営業」氏を通しての関係がなくはない程度である。
反町隆史はご存じかと思うが、ジャニーズの元「平家派」である。そして、「平家派」と云えば、「うぬぼれ営業」氏なのであるが(疑惑.....ジャニーさんの一言か、タイの王族の介入か、サイババの遺言か?)、まあ、その程度の接点にすぎない。
反町隆史は久々にテレビの連続ドラマに出ている(TBS 系 木曜ドラマ9 「 最高の人生の終り方~エンディングプランナー~ 」)。それがエヴァンジェリスト氏の脳に影響を与えたのであろうか?
また、何故、マダム・エヴァンジェリストのことで悪夢にうなされることになったのか?
「白いかもめ」が向かう先が、新婚旅行の地「長崎」であったからであろうか?最近、マダム・エヴァンジェリストに近づくと、「近いっ!」と手で払いのけられるのを淋しく感じていたからであろうか?
そして、死んだハハ・エヴァンジェリストは何故、現れたのか?命日(3月15日)が近いからなのか?
ミステリーである。
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