「鹿です!そう、紛うことなく、それは鹿でした」
札幌の特派員からの報告だ。
「驚くじゃあ、あーりませんか。鹿が大通りにいたんですよ」
かなり興奮している。
「シカも、ただの鹿ではないのです。写真をお送りします」
おお、これは!
「そう、人間鹿です。噂に聞いてはいましたが、見るのは初めてです。北海道初上陸です。エゾ鹿なら驚きませんが、人間鹿なのです」
何故、アイツが北海道に、アオニヨシはどうして札幌にいるのだ?
アイツは今、東京で仕事に追われているはずだ。札幌に行っている暇はなかったのではないか。
「多分、『遊び』に来たのです」
それはそうであろう。出張ではないはずだ。今、アイツは北海道の仕事を持ってはいないのだ。
「いえ、『遊び』と言っても、アッチの方の『遊び』です」
アッチの方の『遊び』?
「『すすきの』系です。『すすきの』系の『遊び』です」
『すすきの』系ってことは…..
「そうです。人間鹿は、エゾ鹿ではなく、エロ鹿なのです」
なるほど、確かにアイツはエロ鹿であった(【名古屋:夜の街】鹿、現る)。
「人間鹿は、夜、『すすきの』にいました。そして、姿が変っていました」
えっ、姿が?
「そうです。昼間、大通りで見かけたときは、まさに人間鹿で、頭部が鹿で体が人間でした」
何が、「まさに」かは知らないが…..
「しかし、夜、『すすきの』に現れたそれは、頭部と体が逆になっていました。頭部が人間で、体部分が鹿になっていたのです。写真をご覧下さい」
そうか、そう云うことなのか!
「そうなのです。体部分が、と云うか、下半身(アソコが)が野獣に戻っていたのです」
おおおおお!
「その後、人間鹿は、とあるビルに入って来ました。そして、そのビルからは『キー』という鳴き声が、快感に酔いしれたような鳴き声が聞こえて来たのです」
これは、人間鹿が帰京したら、インタビューをしない訳にはいくまい。満足度を訊くのだ。
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