(【疑惑の旅】イノダコーヒで発見!(シーン1)の続きである)
「いやあ、みすや針には苦労しましたあ」
京都の特派員からの続報である。
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「砂糖とミルクの分量が絶妙である」
と満足げにイノダコーヒを出たエヴァンジェリスト氏と若い女性の後を付けて行ったのだ。
因に、イノダコーヒでは(くどいが、「イノダコーヒ」であって「イノダコーヒー」ではない)、原則として、コーヒーには砂糖とミルクを入れ、混ぜた形で供される。
コーヒーに対する砂糖の量、ミルクの量、そして、その結果としての砂糖とミルクの量の比率が絶妙(美味い!)ということである。
決して安くはないが、そのレトロな店の佇まいが醸し出す格式と、伝統を持つ「コーヒ」そのものの味をエヴァンジェリスト氏は連れの若い女性に味合せたっかのかもしれない。
イノダコーヒの従業員の客への対応振りにもエヴァンジェリスト氏は感心していたようだ。
氏の後に、老夫婦が店に入ってきた。満席ではなかったが、かなり席は埋っていた。4人掛けの席も少し空いていたが、7-8人掛けの席が幾つか空いていた。
店の人は、老夫婦に声を掛けた。
「どちらの席でもいいですよ。どうぞ、ご遠慮なく広い席にどうぞ」
なかなかできることではない。今時の店は、店側の都合だけ考え、1人の客には、カウンターがあればそこに、二人の客には二人掛けの席がそこに通そうとし、多人数の席は多人数の客が来た時の為にととっておきたがるものである。
「店に1人で入ると、カウンター等、狭い席に通されることが常である。大いに不満である」
と云っているエヴァンジェリスト氏である。イノダコーヒの接客に満悦であったのは当然であろう。
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イノダコーヒを出たエヴァンジェリスト氏と若い女性は、三条通を東に向った。
河原町三条の交差点近くで特派員は二人の姿を見失った。
「あの二人、一体、どこにしけ込みやがったんだ。まだ4時前なのに…..」
焦った。
「ここを入って行ったようにも見えたんだが….」
それは、あるビルの隣接したビルとの間の路地と云うか、通路のようなところであった。「ミカヅキモモコ」の入ったビルの正面から見て右の通路である。
「まさかなあ。こんなところに、しけ込めるような処があるかなあ?」
お下劣な特派員である。
「まさかなあ」とは思いながら、その通路のようなところを恐る恐る入っていった。
そして、通路を抜けたそこは……….
別天地であった。
(続く)
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