(【疑惑の旅】河原町三条から四条大橋へ(シーン3)の続きである)
四条大橋から鴨川を眺めていたエヴァンジェリスト氏が深呼吸をし、おもむろに首を回し、「それ」を見てため息をついた。
「ふうぅ…….」
「それ」は、京都四條南座であった。
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「やはり二部構成がいいなあ」
エヴァンジェリスト氏は、名古屋は伏見の御園座の横を通る時にもため息をついたり、「うぅむ」と唸る等する。そして云うのであった。
「第一部はお芝居、第二部は歌謡ショーだ」
憧れの杉さん(杉良太郎)のように御園座等の舞台に立ちたいのだ。
杉良太郎のように歌も唄える役者であれば、この二部構成の舞台公演ができるのだ。
エヴァンジェリスト氏は、カラオケは好きではないが、仕方なくカラオケをする時の十八番(おはこ)は、「明日の詩」である。勿論、杉良太郎の持ち歌である。
これが結構上手く、二部構成の舞台に上がる自信はあるのであろう。
「健ちゃんもいいよなあ」
同世代の健ちゃん(松平健)も、第一部はお芝居、第二部は歌謡ショーという舞台に上がっているのだ。
「マツケンサンバ」がヒットする少し前にその存在を知ったエヴァンジェリスト氏は、「エヴァちゃんサンバ」を考案したくらいである(幸か不幸か、「エヴァちゃんサンバ」を聞いたことはないが)。
杉さんや健ちゃんのように、二部構成の舞台公演をし、歌謡ショーでは、舞台を降り,客席の間の通路を唄いながら歩くのだ。
そうすると、ご夫人たちが「キャーッ」と云いながら,お札の束を衣装の隙間に差し込んでくるのだ……
どうやら、そんな妄想をしているらしい。時に、アソコを少々触られるかもしれないが、そのくらいは辛抱だ。
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「しかしなあ、調布の会社はそういう方向性ではないからなあ」
京都四條南座を遠目に見ながら、エヴァンジェリスト氏は呟いた。
「調布の会社?そういう方向性???」
京都の特派員には何のことか分らなかったようだが、私にはピントと来た。石原プロのことである。
確かに、石原プロは主に、映画やドラマの仕事をして来た会社である。第一部はお芝居、第二部は歌謡ショーの舞台公演のイメージはない。
が、それがどうしたというのだ。エヴァンジェリスト氏には未だ、まき子夫人から「そろそろウチにいらっしゃい」という電話はかかってきていないではないか(参照:【緊急特報】尊(ミッチー)が結婚!「いよいよ貴方の出番ですか?」、【石原プロ】たかがお年玉、されどお年玉?、【新社長?】『幸子プロ』か『石原プロ』か?)。
-------南座の舞台に立つ自身の姿に思いを馳せるエヴァンジェリスト氏に置いてきぼり状態の連れの若い女性が、しびれを切らした。
「チッ、次はどこだ?」
その言葉にエヴァンジェリスト氏は我に返った。
「ああ、八坂神社だな」
「やはり『疑惑』です。八坂神社って、縁結びで有名なスポットですからね」
特派員の「疑惑」は晴れないようだ。
(続く)
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