これは、外交問題に発展しかねない由々しき問題である。
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この男が着ているものは、一見普通の外出着に見えるがコートの下は正真正銘のパジャマである。イトーヨーカドーの縞模様のパジャマが並んだ売り場で3,800円の半額安売りで買ったものである。
パジャマだから男は夜これを着て寝る。
そして朝起きた時は普段着に着替える。
当然のことである。
ある時男は考えた。
「このパジャマは部屋着としても丁度いい」
男には自分のパジャマ姿に「パジャマ感」が薄いと見えたからである。
それ以来、男は一日中パジャマを着続けている。
「一日中」を正確に表現すれば、
朝起きてから夜寝るまで
夜寝てから朝起きるまで
風呂以外はずっと着続ける
ということである。
この男には定職が無い。
従ってめったにに外出する必要がないことも朝普段着に着替えない理由になっている。
あるとき宅急便が来た。
「ハイ今出ます」とインターフォンで返事したものの普段着に着替える暇はない。
男は、
「まあいいいか。宅急便だから玄関までだし」
とパジャマのまま応対した。
荷物を受け取ったあと男は考えた。
「今のお兄さんは俺のパジャマ姿に気が付かなかった」
そして更に考えた。
「ひょっとしてこのパジャマ、普段着で通用するかも」
(続く)
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