2010年5月7日金曜日

目配り..........たまには、プロの旅人らしく

8年前のこと、ある地方都市でセミナーを開きました。セレブタワーヒメとアカモンヒメとラゾクダイスケと私とが担当しました。

私以外の3人は全日空ホテルに泊まりましたが、私は全日空ホテルがとれず、デパートウラホテルに泊まることになりました。

全日空ホテルは勿論、シティホテルでそれなりのものですが、その地方都市では、デパートウラホテルの方が新しく、グレードは上のようです。コウシツもデパートウラホテルの方に泊まるようです。

「悪いねえ」と私は、セレブタワーヒメとアカモンヒメとラゾクダイスケに自慢げに言い放ちましたが、デパートウラホテルはそう言い放つほどのホテルではありませんでした。勿論、シティホテルですし、新しいので部屋はきれいでしたし、悪いホテルではないのですが、目配りが足りませんでした

先ず、チャックインの際、記帳するとフロントマンが、「では、ご案内します」と私に鍵を渡しながら云いました。

これは変です。案内する場合には、普通、鍵は宿泊者には渡しません。ボーイに渡します。

「ま、いいか」と鍵を受け取り、振り向くと誰もいません。鍵をボーイが持つか宿泊者が持つかは、まあどうでもいいとして、「では、ご案内します」と云っておきながら、そこには案内してくれそうな人は誰もいないのです。私は案内されるのが好きではないので、「ご案内致しましょうか」と云われたのなら「いいです」と断ったのですが、「では、ご案内します」と云われたわけですから、好んだ訳ではないものの、案内されると思っているのです。でも、誰もいません。

「ハッ?」としていると、かなり離れたところにいたボーイさんが跳んできました。

フロントマンは、「では、ご案内します」と云う時に、そばにボーイがいないのであれば、そう云う前に、ボーイを呼ぶべきでしょう。周りが見えていないのです。

また、翌朝、朝食バイキングでの際、席に案内され、すぐにトレーを持って卵料理やら、ベーコンやら、ヨーグルトやら、と色々な料理を取りに行き、最後にコーヒーを取ろうとコーヒー・ポットのところまで行きました。

すると、コーヒー・ポットの前に、「コーヒー、紅茶がご入用の場合には係りの者にお声をおかけ下さい」と書いたプレートが立ててありました。

「???」悩みました。自分でするのではないのか、自分でするには難しいのか、と首をかしげ、周りを見渡しましたが、係りの人が来てくれる訳でもなく、「係りの者に」というプレートの横にはもう1枚のプレートがあり、「押す(PUSH)」なんて書いてあるので、「ま、いいか」と自分でコーヒーを注ぎました。

そして席に戻り、「全日空ホテルの方が、料理の種類が多いなあ。ヨーグルトも市販の小カップのものをそのまま出してるけど、全日空ホテルはホテルで作ったヨーグルトだったなあ」なんて思っていると、コーヒー・サーバーを持った係りの人が私の席の近くに来てコーヒーを注ごうとして既に、コーヒーがあるので「アッ」とした顔をして立ち去りました。そういえば、席には伏せたコーヒー・カップが置いてありました。

コーヒーは自分で取らなくても、席に注ぎに来てくれるシステムだったのです。確かに、そういうやり方のバイキングもあります。しかし、その場合、席に案内した際に、「コーヒーが宜しいでしょうか、紅茶が宜しいでしょうか」と先に訊いてきます。そういうものです。

そもそもそこから間違っているのですが、少なくとも私がコーヒー・ポットの前で悩んでいる時に、「お客様、コーヒーは席までお持ちします」とかなんとか声をかけてくるべきです。目配りが足りません。

出発の際、タクシーに乗ろうとした際にも、正面玄関を出た目の前にはタクシーは停まっておらず、タクシーを探して右へ左へとウロウロしなくてはいけませんでした。ドアマンは何をしていたのでしょうか。ウロウロする私の姿が見えていたはずです。そもそもウロウロさせる前に、様子から「タクシーでしょうか」と訊くのが、普通のドアマンです。ここでも、目配りが足りませんでした。

私は思い出しました。確か、帝国ホテルの社長だった犬丸一郎氏が云っていました。「ホテルマンに必要なのは、気配りではなく、目配りだ」と。自分の周囲に常に目を配っているべきなのです。目を配っていれば、お客様が何を望んでいるか、何か望んでいないか、何で困っているか、何か困っていないか、が分ります。そうすれば、気配りは自然とできてしまいます。

いいホテルかどうかは、そこの従業員が目配りができているかどうかで分かります。

しかし、目配りはホテルマンにのみ必要なものではないでしょう。

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