「いやあ、参ったなあ!?」
札幌のホテルでのことらしい。エヴァンジェリスト氏である。
「霊でもスルんだねえ!?」
「......?」
「いやね、いつもの通り、そら、こっちはもう歳だからさ、9時過ぎ早々に、眠いというか、ダルイというか、ベッドに仰向けに倒れ込んだのさ。出張先のホテルでは毎度のことさ」
「すすきのにも行かずに、ですね?」
「眼を閉じたけど、眠ってはいなかったんだ。でも、まあ、その前から感じてはいたんだ」
「感じていた?」
「ナニかいるんだよ。勿論、見えないけどね」
「霊.......幽霊ですね?怖くはないんですか?」
「何故?」
「だって、うらめしやああ、とか云うでしょうし」
「云わない」
「取り憑いて殺されちゃうとか」
「殺されたら、同じ世界に行く訳だから、対等に勝負にできるし、そしたら、今度はこっちが取り憑いて殺しちゃうぜ」
「霊を殺す?霊は死んだら、どうなるんですか?」
「知らん。生き返るのかなあ?」
「で、霊とは対決でもしたんですか?」
「しない。一度、話してみたいもんだが」
「霊と話す?」
「一体、何を考えて生きているのか、訊いてみたい」
「いや、生きては.....」
エヴァンジェリスト氏は、要するに霊に遭遇はしたらしい。
「結局、対決も話もしなかったが、ヤツにはやられちっまた」
「えっ?やられた?」
「ヤツは全くもって失礼だ!」
「対決はしてないんですよね?」
「してない」
「じゃあ、何を」
「ホウヒ、だ」
「ホウヒ?」
「臭くはなかったがな」
「???」
「へ、じゃ。屁じゃよ。眼を閉じてはいたが、左斜め上空で、確かに『プッ』と確かにやったんだ、アイツは。放屁だ」
「音がしたんですか?オナラですか」
「北海道の霊は全くもって失礼だ」
「いや、北海道の霊ということでは.....そもそも、本当に.....」
「間違いない!『プッ』という音で、ワシは眼を覚ましたんだ」
「眼を覚ました?寝てたんじゃあないですか。夢ですね」
「言葉のアヤだ。とにかく、霊でもスルんだねえ!?北海道の霊は」
またも、エヴァンジェリスト氏になりかわり、申し上げる。
「道民の皆さん、ごめんなさい。夢です。エヴァンジェリスト氏の妄想です。少なくとも、北海道の霊だから、ということではありません、きっと」
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