(【疑惑の旅】幸せと悲しみの三十三間堂(シーン11)の続きである)
「鹿に答えるな」
京都から近鉄特急に乗り、「近鉄奈良」駅に着いて、エヴァンジェリスト氏が最初に発した言葉であった。
「鹿に話しかけられても答えては駄目だからな」
連れの若い女性にそう云ったと、奈良の特派員から聞いてピンと来た。
「鹿男あをによし」(万城目学の小説であり、テレビ化もされた)のパクリだなのだ。ああ、くだらない。
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京都の特派員から、二人の尾行を受継いだ奈良の特派員は、二人が奈良公園を右に見ながら、奈良県庁を過ぎ、「志津香」(公園店)に入るのを見た。
一見、民家にも見えるが、釜めしの名店である。
「エヴァンジェリスト氏、なかなかやらはりますな。ヒヒヒヒヒッ」
京都の特派員に負けずお下劣な特派員である。
「『志津香』は、女性好みの店ですねん。よう調べて来てはる。気に入られようと必死なんやなあ」
京都の特派員と違い、関西弁で報告を上げてくるのが気になる。
「志津香」(公園店)で、エヴァンジェリスト氏は、七種釜めし(1155円)、連れの若い女性は、かに釜めし(1050円)を食した。
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「志津香」(公園店)を出た二人は、左手に向い、少し行った先を左折した。
そこにも鹿が屯し、観光客を待っていた。
「鹿に追われて、キャッキャッ云いながら、いちゃつきたいんやろな」
確かに、そこでは尻を鹿に頭で突かれて「キャーーッ」と云いながら逃げ惑う女の子と、その女の子(カノジョ)を助けられず、「ヒエーッ」と云って自身も飛び去る男(カレシ)等がいた。
「いいか、鹿に話しかけられても答えではいかんぞ」
くどい!
ここでも、エヴァンジェリスト氏は玉木宏にでもなったつもりなのか、そう、連れの若い女性に云った。
連れの若い女性は、来年(2013年)NHKの大河ドラマ「八重の桜」で主演する『綾瀬はるか』よりも美人ではあった。
(ところで、「八重の桜」の主人公である新島八重を『綾瀬はるか』が演じることの不自然さにはここでは触れないでおく)
(続く)
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