「まさか、入れてないよね?」
そうだ、まさか、なのだ。間違っても、それはそこに入れるものではないのだ。
「ええ、入れましたけど」
エヴァンジェリスト氏の問いに元気に答えたのは、ローラククイーン13世であった。
「ええっ!?入れたの?何故?」
「何故?」
「だって……」
2012年12月18日の午後、名古屋駅の在来線の改札である。
大垣からの快速が名古屋に着き、東海道線のホームから改札まで降りたエヴァンジェリスト氏は、改札を出た。
….と、ピッコン、ピッコン、出たばかりの自動改札が警報を発し、赤いアラーム灯をしきりに点滅させていた。
自分に続いて出てくるはずであったローラククイーン13世が、自動改札を前に首をひねっていた。
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「まさか、入れてないよね?」
「ええ、入れましたけど」
「ええっ!?入れたの?何故?」
「何故?」
「だって……」
「SUICAを入れたの?」
「ええ、入れました」
「どうして?」
SUICAを自動改札機の投入口に入れたというのだ。
「どうしてSUICAを入れるの?」
「はああ……….ああっ」
ようやく自分が何をしでかしたか気付いたようであった。
しかし、自動改札機が警報を発し、赤いアラーム灯をしきりに点滅させていることに焦るでもなく、悠然とした足取りで駅員室に向った。
駅員が来て、自動改札機を開け、SUICAは無事、救出された。投入口の近くでSUICAは止っていた。
SUICAもまさか、自分が自動改札機に投入されるとは思っていなかったであろう。割れる等、壊れてはおらず「命」に別状はなかったものの、きっと痛かったであろう。
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救出されたSUICAをそのまま使い、今度は投入口に入れることなく、自動改札にタッチして、ローラククイーン13世が出て来た。
「チャージ金額が不足しているのかと思った」
「いえ、そんなことはありません」
「どうしてSUICAを自動改札に入れたの?」
「入れませんか?」
「はああ!?入れないよぉ」
「いえ、入れますよ」
「今まで入れたことあるの?」
「ありませんけど」
「だろう。入れやしないよ」
「入れますよ」
「初めてSUICAを使ったのならまだしもねえ」
「いえ、何度も使ってますよ」
「だったら、何故、入れたの?」
「入れますよ。他の人も入れますよ」
「いや、そんな人見たことないね」
「いえ、入れます」
ローラククイーン13世改め、レディ・ウオーターメロンの誕生である。
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