「悟りを開くということはなんと清々しいことか」
散歩しながら深呼吸し、ビエール・トンミー氏は呟いた。
「かつてあんな見方をされていたのが嘘のようだ」
そう、ビエール・トンミー氏はかつて、ヘンタイだと近所で思われていたのだ。熟女好きのロリコンと噂されていたのだ。
「今はどうだ。近所の奥さん達も『あらトンミーさんのご主人、おはようございます』と挨拶してくれるではないか。少女たちも『おじいちゃん、オハヨ』と声をかけてくる。おじいちゃん、というのが「気に食わんが」
と云いながら、ビエール・トンミー氏の眼は、通りすがりの夫人の大きなお尻に吸い付けられていた。
フッ。何か冷たいものが首筋を走ったような気がした。ビエール・トンミー氏は振り向いてみた。何かを感じたのだ。
しかし、背後には誰もいなかった。
と、思ったが、ビエール・トンミー氏には見えなかっただけだ。ビエール・トンミー氏が再び、前を向くと、電信柱の影から黒い影が姿を見せた。
0 件のコメント:
コメントを投稿