2010年4月25日日曜日

新幹線に追い付いた!? 


結局、新幹線を止められず、自分達が乗るべき新幹線に乗ることができなかったマダム・エヴァンジェリストとマドモワゼル・エヴァンジェリストは、その後、どうなったのか、気になっていらっしゃる方もいるようです。

二人は、間違って乗った「のぞみ」に戻り、そのまま東京に向いました。席は、グリーン車です。乗るはずだった「ひかり」の席がグリーン車だったからです。夫であるエヴァンジェリスト氏が、めったに旅行をすることもなければ、家を持つこともできないその罪滅ぼしに、と奮発したのでした。

出発後、勿論、車掌さんが検札に来ます。おばさんであるマダム・エヴァンジェリストに怖いものはありませんので、車掌さんに事情を説明します。乗るべき「ひかり」に乗れず、止めてももらえなかった、と。車掌さんも、おばさんには逆らえませんので、「そうぞ、このまま乗って頂ければ、名古屋でそのひかりに追い付くので、そこで乗り換えて下さい」と親切な対応をしてくれました。

後でその経緯を聞いたエヴァンジェリスト氏は、やさしい車掌さんだなあ、っていうか、おばさんは怖いな、と思いましたが、マダム・エヴァンジェリストの考えは違います。

「けち!」と、その車掌さんを罵るのです。名古屋で乗り換えろと云わず、そのまま東京迄どうぞ、と云ってくれればいいのに、と云うのです。だって、「のぞみ」のグリーン車、ガラガラなんだからいいじゃない、そのままで、という理屈です。

この逸話から学ぶものは………………….特にある訳ではありませんが、もう一つのJRの車掌さんの対応と比べた時に、参考になるものがあるかもしれません。

それは、東北地方に出張した帰りの新幹線でした。

私が盛岡から乗ったその新幹線は速い「やまびこ」で、停車駅の少ないものでした。その「やまびこ」に仙台から1人のおじさん(私ぐらいのビジネスマン)が乗ってきました。

まもなく検札に車掌さんが来たのですが、そのビジネスマンと喧嘩にはなっていないようでしたが、もめています。やりとりがハッキリと聞こえている訳ではありませんが、どうも、小山辺りに行くのに、この「やまびこ」は仙台の次は大宮迄停まらないので、大宮迄行って、下りの新幹線で小山まで引き返すつもりであったようです。この「やまびこ」が大宮迄停まらないことを知っており、敢て、そうしようとしたようでした。

しかし、この場合、このビジネスマンは仙台から小山までの切符しか買っていないので、このビジネスマンが取ろうとした手段では、小山と大宮の間の往復の切符を買う必要があります。

車掌さんはそれを説明し、恐れいりますが、その代金をお支払い下さい、なんて感じで云っているようでした。

しかし、ビジネスマンは納得しかねるようで、かなり長い間やり取りは続きました。その内、車掌さんが立ち去ったので、解決したのかと思いきや、車掌さんは時刻表を持ってきて、ビジネスマンにさしだしました。納得のいかないビジネスマンにJRの法律書といってもいい時刻表を見せて、運賃ルールを確認してもらおうとしたのでした。

結局、ビジネスマンは代金を支払いました。

さて、この車掌さんは間違っていたでしょうか。いえ、全然、間違っていません。運賃ルールはその通りです。「プロの旅人」である私はそのことは良く知っています。

しかし、同じようなことをして私は代金を支払わなくて済んだことがあります。

東京から福島に行くのに、新幹線の中でいつも通りパソコンでの仕事に夢中になっていた私は、福島で降り忘れ、仙台迄行って、上りの新幹線に乗り換え、福島迄戻ったことがあります。しかし、福島と仙台の間の往復の切符の代金を払いはしませんでした。

私がズルをしたのではありません。たまたま車掌さんに見つからなかったからではありません。皆さんご存知の通り、善良にして紳士である私は、仙台に着いたところで乗っていた新幹線の車掌さんに事情を説明しました。

すると、その車掌さんは私にただ、上りの新幹線に乗り換えて福島迄戻るように云うだけでした。

運賃ルールをしっている私は、福島と仙台の間の往復の切符の代金は、と云いましたが、いいですよ、と云ってくれました。でも、乗り換えた上りの新幹線の車掌さんに代金を支払うよう云われるのでは、と云いましたが、その時は、また事情を云えば大丈夫ですよ、とのことでした。寝過ごしてよく福島で降りるところを仙台まで来てしまう人は少なくないんだそうです(私は寝ていた訳ではありませんよ)。

では、上述のビジネスマンの場合、間違って小山に停まらない新幹線に乗ってしまったと云えば、どうだったでしょうか。多分、大目にみてもらえたと思います。その時の車掌さんも決して、意地悪な感じの人ではありませんでしたから。

しかし、私が車掌だったら、このビジネスマンには、今回だけですよ、と大目にみてあげると思います。勿論、運賃ルールをちゃんと説明して、納得してもらってからですが

ある意味では、このビジネスマンは馬鹿正直だったのです。運賃ルールを知らなかっただけで、悪意をもってしようとしたことではないのです。

大目にみてもJRが多大な損失を蒙る訳ではないと思います。他の乗客の手前、大目にみるのがまずいとしたら、恐縮ですが、とデッキに来てもらい、そこで決着をつけます。

ルールは大事です。しかし、相手に悪意がない場合、ルールの運用は弾力的に行われてもいいはずです。

私は私のビジネスに於いて基本的に値引きをしません。しかし、お客様の担当者がそのことを十二分に理解した上で、自身の会社の上層部からの強い要請でどうしても、どうしても、値引きをして欲しいと云って来た場合には、なにがしかの条件を付けた上ですが、値引きに応じることはあります。

マダム・エヴァンジェリストに対応した新幹線の車掌さんも弾力的な対応をしてくれたのです(ただただ、マダム・エヴァンジェリストが怖かっただけかもしれませんが)。

マダム・エヴァンジェリストが望んだ通り、名古屋で乗り換えることなく、「のぞみ」のグリーン車でそのまま東京迄乗って行っていい、とまで云うべきであったかどうかは、判断の難しいところですね。

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