久しぶりに○陰地方の●江に出張した。10年振りだ。●江といえば、シショー・エヴァンジェリストである。
「若いんだから、食えよ」というエヴァンジェリスト氏の決めゼリフを、エヴァンジェリスト氏周辺の若い人たちは、エヴァンジェリスト氏のオリジナルと思っているらしいが、シショー・エヴァンジェリストから受継いだものである。
その原点に●江出張があったらしい。シショウ・エヴァンジェリストとエヴァンジェリスト氏と二人での●江出張の際の「シショー」からのお言葉である。
出張での仕事が終り、二人は●江駅まで行き、空港バスに乗ろうとした。しかし、まだバス出発まで時間があった。.....と、「シショー」が目を付けた。ミスドだ。駅舎の中にミスター・ドーナッツがあったのだ。「シショー」はミスター・ドーナッツがお好きなのである。
「ドーナッツ食べない?」
「いえ、私はいいです」
エヴァンジェリスト氏もミスド好きではあるが、その時は特に食べたいとは思わなかった為、辞退した。
「あ、そう.......俺は食べたいんだよねえ」
「ああ、どうぞ」
「そおお」
二人はミスドに入った。「シショー」がドーナッツを選びながら云われた。
「エヴァちゃんは、どれがいい?」
「は?.....いえ、私はいいです」
「あ、そおお......」
「......」
「で、どれがいい?」
そこまで云われるともう辞退はできない。「シショー」の愛である。
エヴァンジェリスト氏は、一つだけ頂くこととした。勿論、「シショー」のおごりである。「シショー」は2個、お買い求めになられた。
バスに乗ると、二人はドーナッツを食べた。バスの最後尾の席で揺れがひどく、嫌いではないドーナッツではあったが、エヴァンジェリスト氏は少々気持ちが悪くなりながら、何とか食べた。
と....「シショー」がドーナッツを1個エヴァンジェリスト氏に差し出した。
「いえ、もう結構です」
「いいから食えよ」
「ええ、もう頂きましたから」
「俺、もう要らないから食えよ」
「いえ」
「いいから食えよ、若いんだから」
「シショー」からそこまで云われると、もう断れない。エヴァンジェリスト氏は、2個目のドーナッツを食べた。
揺れるバスの中で何とか食べたところで、また「シショー」からお言葉があった。
「これも食えよ」
「シショー」は鞄の中からカリントウを出されていた。まさか鞄の中からカリントウが出てくるとは思っておらず、あっけにとられ、断ることも忘れ、エヴァンジェリスト氏は云っていた。
「ありがとうございます」
これは「シショー」の「愛」なのだ。その時から、エヴァンジェリスト氏は、「シショー」を師匠にしようと心に決めた。そして、いつの間にかエヴァンジェリスト氏自身も若手の同僚に対し云うようになっていた。
「若いんだから食えよ」
10年振りの●江駅は、駅前のロータリーも新しくなり、また、駅舎もすっかり新しくきれいになっていたが、ミスドはまだそこにあった。エヴァンジェリスト氏は懐かしさがこみ上げるのを感じながら、あらためて誓った。シショーのようになろうと。
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