「いやあ、ドキッとしたなああ」
「厚顔無恥な貴方でもドキッとすることはあるんですか。一体,どうしました」
エヴァンジェリスト氏がドキッとしようと、肥壷にはまろうと実のところは関心はなかったが、どうしたのか訊いてやらないと五月蝿いのだ。
「オトワヤだ」
「音尾ですか?」
「TEAM NACSではない」
「スープカレー、冠婚葬祭プランナーではないんですね?」
「スープカレーはイマイチだったな。音尾琢真がいけないわけではないが」
「で、オトワヤって?」
「音羽屋だ。菊五郎だ」
「ああ、尾上菊五郎ですね。菊五郎がどうしたんですか?」
「睨まれたんだ」
「あはっ?誰を?誰を睨んだんですか?」
「ワシに決っておる」
「貴方、何かしたんですか?」
「何もしない。存在しただけだ」
「存在しただけ?」
「そうだ。ワシという存在が気になったのであろう」
ああ、面倒くさくなってきた。
「JALのラウンジだった」
今度は、JALのラウンジか。この前は、ANAのラウンジだった。あの時は、「猪木さん」だったな(参照:猪木さんに会った!)
「多分,今日(2012年7月3日)、青森で公演があるのであろう。義経千本桜だな」
インターネットででも調べたのであろう。
「青森にはJAL便しかないからな」
そんなことは「プロの旅人」なら常識である……..いや、東京-青森便は確かにJAL便だけだが、名古屋小牧との間にはFDA(フジドリームエアラインズ)も飛んでいる。
「ラウンジに着いて、鞄を席に置き、トイレに行こうとしたんだ。大ではないぞ。小の方だ」
大だの小だの,誰も訊いちゃあいない。
「その時だ。ワシを睨みつける老人がいた。一瞬、多湖輝かと思った?」
多湖輝って云っても,今の人たちは知らないであろう。「頭の体操」だ。しかし、多湖輝って尾上菊五郎に似ていたであろうか?ネットで写真を見つけ、見比べてみよう。
「しかし、多湖先生ではなかった。音羽屋だったんだ。『ふじくーーん』の夫君だったんだ」
私が解説するのも変だが、どうやら「スチャラカ社員」のことらしい。コメディ番組「スチャラカ社員」で若き藤田まことが、やはり若き藤純子(今の富司純子)のことを「ふじくーーん」と呼んでいたのだ。そして,云うまでもなく、富司純子は尾上菊五郎夫人なのだ。
「『ふじくーーん』はどうでもいいですが、菊五郎はどうして貴方を睨んだんですか?」
「ワシには分っておる」
「たまたま目が合っただけじゃあないんですか?」
「見破られたんだ」
「何を?」
「船橋停車だ!」
「ああ、そうきましたか」
「ワシのことを船橋停車だと見破ったんだ(参照:船橋停車?)」 「船橋停車って、貴方が自分で勝手に云っているだけでしょ」
「中車はついにデビューした」
「市川中車、香川照之ですね」
「『君は一体、いつ大歌舞伎に来るのだ!?』と仰りたかったのであろう」
「.....」
松竹大歌舞伎でも、、NHKでも、北三陸でも、石原プロでもどこでも勝手に行けばいい、行けるもんなら。「目出度い人」を英訳すると「Evanjelist」になるのではなかろうか。