「まつちカッパもびっくりぞなもし」
松山の特派員からの報告である。
「『うるおいの泉』が波揺れたようやけん」
『うるおいの泉』はまつちカッパの生息する池である。四国でただ一つの地下街と云われる松山市駅前の地下街『まつちかタウン』にある池である。地下にあり、従って、通常は波に揺れることのない池のはずである。
参照
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その『うるおいの泉』が波揺れたようであった、というのである。
「まつちカッパが驚いて跳ねたからぞなもし」
何故、まつちカッパは驚いて跳ねたのか?
「目撃者によると、ピンクの帽子を被り、黒いサングラスをかけ、鼻の下と顎に白髪交じりの髭を生やした老人が『うるおいの泉』に現れたというやけん」
ピンクの帽子、黒いサングラス、白髪交じりの髭?エエーッ?
「怪しい臭いプンプンの老人だったそうなんよ」
怪しい臭い?
「その怪しい老人は、しかし、直ぐに立ち去ったそうなんよ。『ドーゴ、ドーゴ』と云いながら」
『ドーゴ、ドーゴ』?
「多分、道後温泉のことだと思うけん、これから追跡するぞなもし」
この特派員は、どこの出身なのか?伊予弁が怪しすぎるが、まあいいだろう。それよりも怪しい老人のことが気になる。
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「もう道後温泉にはいないようぞなもし」
温泉の匂いを撒き散らしながら、特派員が道後温泉から出てきた。取材と称して温泉を楽しんできたようだ。
「しかし、安心やけん。道後温泉地域には、私の情報屋がいるぞなもし。もう、怪しい老人の所在は判明しちょるけん」
だったら、早く追跡すればいいのだ。
「いえね、もう、その怪しい老人の姿を捉えた写真も入手済ぞなもし」
なんだって!?
「よっけ、驚かんでくれぞなもし。これじゃけん!」
オオーッ!
「そう、これって『桃怪人』ではないかなもし?」
そうだ、確かに….
「首都圏の郊外のある駅付近に現れたという『桃怪人』ではないかなもし?」
そう、確かに…..しかし、どこか違う。むしろ、怪人2号に似ている感じがする。
参照
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「っていうことは、『桃怪人2号』ですかなもし」
まさか、と思うが、特派員の云う通り、『桃怪人2号』かもしれない。いや、そうだと思う。
怪人はついに四国にも上陸したようだ。四国の今後が心配だ。
ところで、『桃怪人2号』は何故、裸なのだ?ヌードな怪人は初めてだ。
「ほやけん、道後温泉であったまったけん、ホテルのベッドで裸族していたらしいぞなもし」
そうなのか….しかし、ホテルの部屋の中の『桃怪人2号』をどうやって撮影したのであろうか?
「情報源は明かせんぞなもし」
怪人だけではなく、この特派員も怪しげだ。