「分っていますよ.......」
と呟いて、エヴンジェリスト氏はテレビ画面から目を逸らした。
「分ってはいるんですが......」
珍しく殊勝な様子である。
「僕はもう70歳なんだよ」
DVD化発表の記者会見での渡さんである。「西部警察」と「大都会」を初めてDVD化することになった(「西部警察」は総集編がDVD化されたことはあったらしいが)ことに関する記者会見の席での渡哲也さんのお言葉である。
久しぶりにレイバンのティアドロップ・サングラスを掛けた(いや、掛けされられた、と云った方がよかろう)渡さんが、集った記者達に向けて云った言葉である..........と思った。
しかし、エヴァンジェリスト氏の受け止め方は違っていたようだ。
「僕はもう70歳なんだよ」という言葉を、渡さんは記者達にではなく、テレビ・カメラ越しに自分に(エヴァンジェリスト氏に)向けて放たれたものと捉えたようなのである。
「僕はもう70歳なんだよ。一体、いつまで僕をこんな風に働かせるんだい?そろそろ、こっちに来いよ」
渡さんは、暗にエヴァンジェリスト氏にそう云ったと思い込んだようなのだ。
「分ってはいるんですが......」
と、本人は悩んでいる様子だが、幸せな人である。妄想係長(桐谷健太)もビックリだ、と思っていたら……..
「今年(2012年)は、総選挙もありそうなので……….」
と、想像を超えた発言が為されたのである。幸せな、というよりも、恐ろしい人である。
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