2015年1月27日火曜日

怪人2号、誕生!...【●●●氏のスター大作戦】



「あそこまでしないとスターにはなれないのか!」

2015年1月25日の『プロの旅人』を見て、感嘆の声を漏らした男がいた。男はこちらに背を向けていた。

「あんなあざとい真似をするビエール・トンミー氏のことは軽蔑するが、それと同じか、それ以上に尊敬もする。よくもまあ、あんな格好で巷を歩くことができるものだ」

首都圏の郊外のある駅に現れた怪人のことを云っているようだ。


「ビエール・トンミー氏にはまだお会いしたことはないが、それ(怪人)が氏であることは私には分かる」

そうだったのか!?2015年1月25日の『プロの旅人』に登場した怪人は、ビエール・トンミー氏であったのか!見事な変装ぶりにすっかり騙されてしまった。

ところで、怪人の正体を看破した眼力の持ち主は一体、何者なのか?

….と思ったら、男が振り向いた。

オオーッ!





怪人であった。しかし、その怪人はビエール・トンミー氏ではないようであった。ビエール・トンミー氏より若い感じがした

誰だ?

「フフフフッ」

不敵な笑いを残し、その怪人は去って行った。そして、『BVLGARI pour homme』の香りも残していった。

怪人2号……怪人が増殖するなんて、恐ろしい時代になったものだ。






2015年1月25日日曜日

怪人、現る!….【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】



首都圏の郊外のある駅に怪人が現れた。

怪人は、レーバン風のサングランスをかけていた。白いマスクも着用している。更に、妙な形の帽子まで被っている。





怪人は、駅前の商業ビルの別館に向った。

すれ違う人総てが振り返った。いや、すれ違わない人までもが怪人に視線を送った。

しかし、怪人はそれらの視線に気付かず、咳をしながら歩いた。時々、マスクの下部を開け、街路樹の根元に痰を吐いた

商業ビルに入り、更にそこから別館に向い、エレベーターで5階に上った。

初めて来たところらしく、エレベーーターを降りた怪人は不安げに左右を見た。

右手には大きなホールがあったが、そちらには向わず、左手に向った。

カルチャー・スクールであった。

どうやら、ビエール・トンミー氏が通おうとしているのと同じカルチャー・スクールだった。

看板には、●●●子先生の名前があった。同じ講座を受講するようでもあった。




ドアを開け、怪人は教室に入った。

中にはオジサンとオバサンしかいなかった。

怪人は、オバサン達が固まっていたすぐ後ろの目立たない端の方の席に座った。サングラスもマスクも帽子も取らない。

講義が始まった。

怪人の講師を見る目が尋常ではなかった。サングラスをかけていても分る程に。

時々、咳き込んだが、屋外にいた時より控え目であった。それは、講義の邪魔をしない為のようでもあり、何だか目立たないようにする為のようでもあった。

講義が始まり、程なく、教室は消灯された。講師がパワーポイントの画面をスクリーンに映すからである。

怪人は目立たぬようしている風であったが、鼻息が荒かった。体調が悪く、微熱があるようにも見えたが、何か興奮しているようにも見えた。

2時間の講義が終ると、怪人はそそくさと教室を出て行った。

誰にも自分の存在を悟られないように、といった風であったが、申し上げるまでもなく、その存在は目立っていた。

怪人は一体、何者であるのか?

そういえば、同じ講義を受講するはずであったビエール・トンミー氏の姿が見えなかったことも気になる。体調でも悪いのであろうか。お気に入りの●●●子先生の授業をあれほど楽しみにしていたのに。







2015年1月23日金曜日

【独白】新・フレグランス作戦だ!....いや、勉強、勉強だ….【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】



どうしたことだろう、胸が高まり、おさまらなくなっている。

いや、どうしたことだろう、というのは正しくない。理由は分っているのだ。


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ビエール・トンミー氏は、1月19日(月)、今年初めてのオープンカレッジの講義を受講した。講師は勿論、●●●子先生だ。

今年も相変らずお綺麗であった。しかし、誤解しないで欲しい。ビエール・トンミー氏が●●●子先生の講義を受講するのは、下心があってのことではない。純粋な向学心である

それが真実かどうかは知らない。

「あくまで勉強、勉強」とビエール・トンミー氏が云うので、「純粋な向学心」と紹介しているだけだ。

今年も、『D.S.&DURGA』のフレグランス『BURNING BARBERSHOP』をつけて受講した。


「誤解しないで欲しいが」

とビエール・トンミー氏は云う。

「これはエチケットなんだ」

それはそうだろう。ビエール・トンミー氏自身はまだ加齢臭はないと思っているが、万が一、加齢臭を発したとしたら、●●●子先生に失礼だからだ。

何しろ、講義では最前列の席、●●●子先生の目の前の席に座るのだ。一度、●●●子先生のが席まで飛んできたこともあったのだ。はビエール・トンミー氏のノートに小さな泡として付き、ビエール・トンミー氏はすかさずその「泡」を指に取り、舐めた

●●●子先生とビエール・トンミー氏の席の距離はそれほどに近いのだ。ビエール・トンミー氏の体臭も●●●子先生まで届くに違いない。


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この胸の高まり……理由は、分っている。

明日(1月24日)の『講座』のことが気にかかっているのだ。

明日も●●●子先生の『講座』があるのだ。大学のオープンカレッジではない。鉄道会社主催のカルチャースクールだ。

●●●子先生がオープンカレッジ以外に、一般市民向けに『講座』をお持ちとは知らなかった。昨年(2014年)の10月からその『講座』は始っていたのだ。

屈辱だが、その『講座』の存在はエヴァンジェリスト氏に教えてもらった。

エヴァンジェリスト氏はボクが下心を持っていると思い込んでいる。ただただ勉強したいだけだし、●●●子先生の講義が素晴らしいからだけなのに。

しかし、どう誤解されていい。その『講座』は途中受講可であったので、早速申込をした。オープンカレッジの他にも●●●子先生の名講義をお聴きすることができるのだから。

明日(1月23日)がその『講座』の日(今年初めての回)なのだ。

そうだ、そうなのだ。この胸の高まりは、いよいよ明日、その『講座』を受講できることに対するものなのだ。

勉強、勉強だ!

しかし、●●●子先生には今週初め(1月19日)にもオープンカレッジでお会いしたばかりだ。その同じ週の土曜日に(1月24日)またお会いすると、ひょっとしたら●●●子先生も誤解されはしまいか….

「あら、この人、助平ジジイだわ」って。

それはまずい

よし、変装だ。サングラスをかけていこう。レーバンのサングラスを持っているからな。それをかけると、ちょっと「渡哲也」風になる。

フレグランスも変えよう。『BURNING BARBERSHOP』だとバレるからな。

ドルト氏やらが『BVLGARI pour homme』で「フレグランス作戦」を実行したらしい。

ドルト氏が『プロの旅人』上で新スターを目指していることは気に入らないが、『BVLGARI pour homme』で相当な効果を得たようだ。

こっそり『BVLGARI pour homme』を使わせてもらうことにしよう。

今度こそ、『BVLGARI pour homme』で●●●子先生を……

いやいや、勉強、勉強だ!







2015年1月20日火曜日

【追悼】「壁ドン!」は甘い。「壁ドンドン!」:中川努先生。



「壁ドン!」は甘い。エヴァンジェリスト氏は、中川努先生に「壁ドンドン!」を教えて頂いた。


中川努先生は、関西学院大学のフランス文学の先生(教授)であった。そして、エヴァンジェリスト氏のお客様であった。

中川先生は、エヴァンジェリスト氏にフランス流の女性の口説き方を教えてくれた。

「女性をね、壁際に追い詰めるんですよ。そしてね、両手を壁に押し当て、女性を逃さないようにするんです」

エヴァンジェリスト氏は、真剣に聞いた。

「そして、顔を近づけてね、フフ」

今風に云うと、「壁ドンドン!」である。

「壁ドン!」は甘いのだ。「壁ドン!」は片手を壁に当てるだけだ。それでは、塞がれていない方から逃げられてしまう。

そんなことを先生(大学教授)が教えてくれたのだ。しかも相手(エヴァンジェリスト氏)は、同じくフランス文学専攻出身とはいえ、営業マンだ。

素敵な先生、素敵なお客様であった。

エヴァンジェリスト氏は、中川先生からもっと色々なことを教わりたかった。しかし、それはもう叶わない。

中川先生は、20年前に亡くなられたからである。20年前の1月17日に亡くられたのである。

20年前の1月17日.......そう、阪神淡路大震災である。

中川先生は、お住いで圧死されたのだ。

そのことを知ったのは、震災から半年経ってからであった。共通の知合いからの情報であった。

阪神淡路大震災では、6434人もの方が亡くられており、中川先生も亡くなられていたことが直ぐには分らなかったのだ。

44歳であった。まだまだ若かった。無念である。


先生は亡くなられたが、エヴァンジェリスト氏は先生のことも、先生から教わった「壁ドンドン!」も忘れることはない。

最近、「壁ドン!」が流行っていることが気に入らない。

「壁ドン!」は甘いからだ。「壁ドンドン!」であるべきだからだ。しかも、「壁ドン!」のようなことは20年も前に中川努先生が「提唱」されていたのだ。


.....で、エヴァンジェリスト氏は、「壁ドンドン!」を実践したことがあるのか?

勿論、ない。エヴァンジェリスト氏には壁際に追い詰めるまでに到る女性がいない。

夫人(マダム・エヴァンジェリスト)にもできない。夫人にしようとすると、壁際に追い詰める以前に、近づいだだけで頬を平手打ちされる。壁際に追い詰めたとしても、急所にヒザ蹴りを入れられることが分っているからだ。

あれから20年。黙祷である。



2015年1月18日日曜日

【オトコの魅力】ダカラムスメモ氏、ボクサーになる。




「ふん、『フレグランス作戦』なんて軟派な奴らだ」

両手に持ったダンベルを交互に上下させながら、ダカラムスメモ氏が吐き捨てるように呟いた。

オトコの匂いは、『BURNING BARBERSHOP』でも、『BVLGARI pour homme』でもなく、汗だ

フレグランスで女性を魅了しようというビエール・トンミー氏批判、ドルト氏批判のようだ。


「そして、オトコの魅力は、筋肉だ

ダンベルを床に置き、ダカラムスメモ氏は早朝、ロードワークに出掛けた。最近の土日の朝の日課である。

「シュッ、シュッ、シュッ」

冬の寒気の中、シャドー・ボクシングをしながら近所の団地の周りを走る。ジムでボクシングの練習も始めたのだ。

「年齢制限さえなければ、プロになるのだが」

プロボクサーには年齢制限があるのだ。プロテストを受けるには、満32歳以下でなくてはならない。ライセンスを得たとしても、37歳になるとライセンスは失効となる(チャンピオンでいる間は別だ)。

「シュッ、シュッ、シュッ」

ダカラスメモ氏は、既に38歳だ。

「IGFならボクもリングに上がれるかもしれない」

IGFは、猪木さんの団体だ。そこには、プロレスも総合格闘技もボクシングもない。あるのは「戦い」だ。今ドキのプロレスファンの怒りを買うかもしれないが、今のプロレスにはない「戦い」がそこにはある。

「年齢も関係ないはずだ」

40歳前とは思えぬ肉体になりつつあるのを感じる。

「IGFなら、猪木さんとの関係からエヴァンジェリスト氏に調整をお願いすればいいかもしれない」

エヴァンジェリスト氏と猪木さんとの関係って、本当のところはどんなものかは知らないが。

「シュッ、シュッ、シュッ」

団地を3周し、自宅マンションに戻った。しっかり汗をかいていた。

「フーッ、フーッ、フーッ」

娘が起きてきていた。近づいて抱き上げようとした。が….

「オトーサン、臭い!あっち行って!!!」

まだ3歳ではオトコの魅力は分らないのだろう。

「オトーサンってホントダメねえ」

朝食の準備をする妻のいる台所に入った。

「あらま、ホントだわ。アナタ、臭いわ。近づかないで」

匂いが効かぬなら、今晩、筋肉で参らせてやる。ダカラムスメモ氏は雪辱を誓った。







2015年1月12日月曜日

【新ライバル登場?】『フレグランス作戦』は譲らん….【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】



「一体、誰なんだ?」

誰も聞いてはいなかったが、ビエール・トンミー氏は声を荒げた。

「聞いたこともない名前だ、ドルト氏なんて」

それは嘘だ。少なくとも勘違いだ。聞いたことはなくとも、その名前は見たことはあるはずだ。この『プロの旅人』に一度だけ登場したことがあるからだ。


これまで、歯牙にも掛けていなかっただけだ。

(この『プロの旅人』の)新年最初の回を、アオニヨシ君とやらに奪われるならまだしも、ドルトなんてどこの馬の骨か分からなぬ奴に奪われるとは!」


アオニヨシ君とは面識はないが、アオニヨシ君が『人間鹿』という類い稀なき存在であることから、一目置いているようだ。

「アオニヨシ君には一度会ってみたいものだ。『人間鹿』なんて会ったことも見たこともないからな」

なんなら今度、アオニヨシ君をビエール・トンミー氏に紹介してもいい。

「平気で『獣姦』なんて言葉を使ったり、鹿なのに、うんこをトイレでしたりなんて、侮れない相手だ」


アオニヨシ君のことはライバルとして認めているようだ。

「しかし、だ。ドルトなんて知らないぞ。一体、何をしでかしたことがあるのだ?」

いや、ドルト氏は何もしでかしたことはない。敢えて云えば、今回、初めてしでかしてくれたのだ。会社で『フレグランス作戦』を決行したのだ。

「剽窃だ!『フレグランス作戦』はボクのものだ。ボクの専売特許だ」

確かに『フレグランス作戦』は、ビエール・トンミー氏が●●●子先生を魅惑する為に考案した作戦であった。


「しかも、『フレグランス作戦』で若い女性たちを虜にしたなんてケシカラン!」

ビエール・トンミー氏の『フレグランス作戦』は未だ成功していないのだ。●●●子先生をオトセていないのだ。

『BURNING BARBERSHOP』で魅惑してしまったのは、●●●子先生ではなく、自分と同じオープン・カレッジを受講に来ていた「婆さん」であったのだ。

「それに、『歳の割に『回数』もある方』なんて、どういうことだ!様子から察するにまだ40歳台前半のように思えるが、それにしても羨ましすぎる」

ついつい本音が出たようだ。

しかし、ビエール・トンミー氏は忘れているのだ。ビエール・トンミー氏も40歳台前半の頃はお盛んであったのだ。何しろ夫人が10歳も年下なのだから。体力的にきつくはなってきていたが、頑張っていたのだ。

「なにはともあれ、ドルト氏に告ぐ。挑戦は受けて立とう!スターになりたければ、ボクを乗り越えろ」

今後、エヴァンジェリスト氏は別格として、ビエール・トンミー氏、アオニヨシ君、そして、ドルト氏の3大スター時代に突入するのであろうか?








2015年1月11日日曜日

【ドルト氏のスター大作戦】ワタシのフレグランス作戦




「何だか、少し匂いませんか?香水つけましたか?」

新年早々、アオニヨシ君が訝しげそうな表情を浮かべ、エヴァンジェリスト氏に訊いた。

「ワシではない」
「そりゃそうですよね」
「何故だ!?」
「アナタには加齢臭はあっても華麗な匂いがある訳ありませんよね」
「なにい!」

そんな親子のような会話を聞きながら、ドルト氏は微笑んだ。

『ワタシだ。その香水の主はワタシなんだ』

誰もそのドルト氏の心の声を知らない。


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その朝、家を出る際に、妻(マダム・ドルト)が訊いてきた。

「あら、アナタ、香水つけるようになったの?」

やはり気づいたか。

「いつ買ったのよ?」

昨年(2014年)、広島に出張した際に、『そごう』で買っておいたのだ。

「どうして香水つけるの?」

まあ、そう質問してくることは予期してはいた。答も用意してあった。

「まあ、いいけれど。アナタもそろそろ加齢臭がしてくる年頃だし、身だしなみね」

勝手に理解してくれた。


―――――――


通勤電車で早速、『効果』が出た。

混み合った車内で側に立ったご婦人が振り向き、なまめかしい目でこちらを見上げてきた。

『来た、来た、来たあ!』

と思ったが、どう見ても自分より年上であったので、ナニもしなかった。

若作りであったので、振り向くまでは少しは『期待』があったが、『アイテ』をするには少し辛そうであったのだ。


―――――――


「でも、いい匂いですよね。ほんのりですけどね」

アオニヨシ君はさすが『鹿』だけのことはある。嗅覚が優れている。

「男性用の香水ですよね」

まあ、間違いではないが、香水という程、強いものではない。オードトワレだ。

『広島そごう』の新館2階の『BVLGARI』ショップで買ったのだ。『BVLGARI pour homme』だ。

「そんないい匂いがするかあ?」

年寄りのエヴァンジェリスト氏には分らないようだ。嗅覚も衰えているのだろう。

「しかし、男が香水なんかつけてどうするつもりだ。ビエール(トンミー氏)でもあるまいし、『フレグランス作戦』を使う奴がこの会社にいるのか?」

ここにいるのだ。ワタシだ。どうして、気づかないのだ?

まあ、ワタシはどう見ても、ビエール・トンミー氏にように、『フレグランス作戦』を使うおちゃらけた存在ではないのだから仕方はない。


―――――――


社内を少し歩いてみた。

やはり『効果』はあった。すれ違う若い女性社員は全員、振り向くのだ。これまでにはないことだ。

少なくとも、ここ10年間にはなかったことだ。もっと若い頃には、フレグランスに頼るまでもなく、女性にモテタものだ。

妻もその一人だ。妻は男性たちの憧れの的であったが、その憧れの的の憧れがワタシであったのだ。

しかし、こんなにモテルのは久しぶりだ。しかも、フレグランス効果だけのことではないのだ。

振り向いた女性たちの視線が普通ではないのだ。匂いに惑わされただけなら、その匂いの主がオジサンと解り、ガッカリした表情を見せるはずだが、振り向いた後、はっとした表情を浮かべるのだ。

40歳を超え、自身知らぬ間にオジサン化していたのだ。ツクリはいいのに、オジサン化していた為に、徐々に若い女性に振り向くこともされなくなっていたのだ。

しかし、『BVLGARI pour homme』が変えてくれたのだ。

『BVLGARI pour homme』は、ただ女性たちを振り向かせただけではなく、ワタシ自身の心の持ちようも変えてくれたのだ。自信を取り戻させてくれたのだ(香川真司も『BVLGARI pour homme』をつけてみたらどうだろうか)。


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しかし、少し怖くなってきた。余りの『効果』に怖さを感じるようになったのだ。

ワタシは妻を愛している。浮気をするつもりはない。ただ少し試してみたかっただけなのだ。

が、このままでは自分さえその気になれば、ナニもできてしまいそうなのだ。

奥さんに見向きもされなくなったビエール・トンミー氏とは違うのだ。妻もワタシを愛しているし、歳の割に『回数』もある方だと思う。

まあ、妻にさとられないなら、1回や2回、『そういうこと』があってもいいかとは思う。

しかし、この『効果』を見ると、『そういうこと』になった若い女性の方が、ワタシのことを忘れられなくなりそうなのだ。


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…….と、夢想していると、ポンポンと肩を叩かれた。

スモーキン・パパ・カニー氏であった。

「ねええ、今晩、飲みに行かない?」

ぎょっとした。スモーキン・パパ・カニー氏は毎日のように誰かを誘い、飲みに行っている。

ワタシも随分、誘われたものだ。しかし、1回でこりごりであった。どうこりごりであったかは申さないが、もう結構であったし、それを察したのか、スモーキン・パパ・カニー氏も徐々にワタシを誘わなくなった。

だから、久しぶりのお誘いであった。しかも、「ねええ」という言葉とその目線が尋常ではなかったのだ。手もワタシの肩に置いたままなのだ

『ま、ま、まさか!』

『そんなこと』はあるまいと思ったが、どうも『そんなこと』のようなのだ。

そうなのだ。『フレグランス効果』がスモーキン・パパ・カニー氏にまで及んだのだ。

スモーキン・パパ・カニー氏に『そっちの気』があるとは知らなかった。

元々は、『そっちの気』はないのかもしれないが、フレグランスがその『気』を呼び起こさせたのかもしれない。

「す、す、すみません。今は、オシンコ・プロジェクトで忙しいので」

慌てて肩の手を払いのけ、席を立った。

今、三連休明けも『BVLGARI pour homme』をつけ続けるべきかどうか思案中である。