「一体、誰なんだ?」
誰も聞いてはいなかったが、ビエール・トンミー氏は声を荒げた。
「聞いたこともない名前だ、ドルト氏なんて」
それは嘘だ。少なくとも勘違いだ。聞いたことはなくとも、その名前は見たことはあるはずだ。この『プロの旅人』に一度だけ登場したことがあるからだ。
(参照:【嫉妬】スターなる為の方法)
これまで、歯牙にも掛けていなかっただけだ。
「(この『プロの旅人』の)新年最初の回を、アオニヨシ君とやらに奪われるならまだしも、ドルトなんてどこの馬の骨か分からなぬ奴に奪われるとは!」
アオニヨシ君とは面識はないが、アオニヨシ君が『人間鹿』という類い稀なき存在であることから、一目置いているようだ。
「アオニヨシ君には一度会ってみたいものだ。『人間鹿』なんて会ったことも見たこともないからな」
なんなら今度、アオニヨシ君をビエール・トンミー氏に紹介してもいい。
「平気で『獣姦』なんて言葉を使ったり、鹿なのに、うんこをトイレでしたりなんて、侮れない相手だ」
(参照:鹿、ザ・フレグランス、『うんこ』はトイレでする。)
アオニヨシ君のことはライバルとして認めているようだ。
「しかし、だ。ドルトなんて知らないぞ。一体、何をしでかしたことがあるのだ?」
いや、ドルト氏は何もしでかしたことはない。敢えて云えば、今回、初めてしでかしてくれたのだ。会社で『フレグランス作戦』を決行したのだ。
「剽窃だ!『フレグランス作戦』はボクのものだ。ボクの専売特許だ」
確かに『フレグランス作戦』は、ビエール・トンミー氏が●●●子先生を魅惑する為に考案した作戦であった。
(参照:「疑惑のカレッジ」ふたたび(前編)….【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】、「疑惑のカレッジ」ふたたび(後編)….【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】、【祝・還暦】フレグランス作戦、成功?….【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】)
「しかも、『フレグランス作戦』で若い女性たちを虜にしたなんてケシカラン!」
ビエール・トンミー氏の『フレグランス作戦』は未だ成功していないのだ。●●●子先生をオトセていないのだ。
『BURNING BARBERSHOP』で魅惑してしまったのは、●●●子先生ではなく、自分と同じオープン・カレッジを受講に来ていた「婆さん」であったのだ。
「それに、『歳の割に『回数』もある方』なんて、どういうことだ!様子から察するにまだ40歳台前半のように思えるが、それにしても羨ましすぎる」
ついつい本音が出たようだ。
しかし、ビエール・トンミー氏は忘れているのだ。ビエール・トンミー氏も40歳台前半の頃はお盛んであったのだ。何しろ夫人が10歳も年下なのだから。体力的にきつくはなってきていたが、頑張っていたのだ。
「なにはともあれ、ドルト氏に告ぐ。挑戦は受けて立とう!スターになりたければ、ボクを乗り越えろ」
今後、エヴァンジェリスト氏は別格として、ビエール・トンミー氏、アオニヨシ君、そして、ドルト氏の3大スター時代に突入するのであろうか?
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