「ふん、『フレグランス作戦』なんて軟派な奴らだ」
両手に持ったダンベルを交互に上下させながら、ダカラムスメモ氏が吐き捨てるように呟いた。
「オトコの匂いは、『BURNING BARBERSHOP』でも、『BVLGARI pour homme』でもなく、汗だ」
フレグランスで女性を魅了しようというビエール・トンミー氏批判、ドルト氏批判のようだ。
(参照:「疑惑のカレッジ」ふたたび(後編)….【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】、【祝・還暦】フレグランス作戦、成功?….【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】、【ドルト氏のスター大作戦】ワタシのフレグランス作戦)
「そして、オトコの魅力は、筋肉だ」
ダンベルを床に置き、ダカラムスメモ氏は早朝、ロードワークに出掛けた。最近の土日の朝の日課である。
「シュッ、シュッ、シュッ」
冬の寒気の中、シャドー・ボクシングをしながら近所の団地の周りを走る。ジムでボクシングの練習も始めたのだ。
「年齢制限さえなければ、プロになるのだが」
プロボクサーには年齢制限があるのだ。プロテストを受けるには、満32歳以下でなくてはならない。ライセンスを得たとしても、37歳になるとライセンスは失効となる(チャンピオンでいる間は別だ)。
「シュッ、シュッ、シュッ」
ダカラスメモ氏は、既に38歳だ。
「IGFならボクもリングに上がれるかもしれない」
IGFは、猪木さんの団体だ。そこには、プロレスも総合格闘技もボクシングもない。あるのは「戦い」だ。今ドキのプロレスファンの怒りを買うかもしれないが、今のプロレスにはない「戦い」がそこにはある。
「年齢も関係ないはずだ」
40歳前とは思えぬ肉体になりつつあるのを感じる。
「IGFなら、猪木さんとの関係からエヴァンジェリスト氏に調整をお願いすればいいかもしれない」
エヴァンジェリスト氏と猪木さんとの関係って、本当のところはどんなものかは知らないが。
「シュッ、シュッ、シュッ」
団地を3周し、自宅マンションに戻った。しっかり汗をかいていた。
「フーッ、フーッ、フーッ」
娘が起きてきていた。近づいて抱き上げようとした。が….
「オトーサン、臭い!あっち行って!!!」
まだ3歳ではオトコの魅力は分らないのだろう。
「オトーサンってホントダメねえ」
朝食の準備をする妻のいる台所に入った。
「あらま、ホントだわ。アナタ、臭いわ。近づかないで」
匂いが効かぬなら、今晩、筋肉で参らせてやる。ダカラムスメモ氏は雪辱を誓った。
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