「Cho-jude, don’t make it good」
珍しくエヴァンジェリスト氏が歌を唄っていた。
「チョージュード….」
それも、ビードルーズ風だが、ビートルーズではない。そもそも、エヴァンジェリスト氏はビートルズ好きではない。
「チョージュード….」
同じフレーズばかり繰り返している。
「チョージュード….」
こちらに、どうしたのか、と訊いてもらいたいんだとばかりの歌い方だ。仕方がない….
「どうしたんですか?」
「いや、なんでもないさ。…….多分」
「なんでもなくはないんでしょ!どうしたんですか?」
「まあ、どうせ誰も心配なんかしないんだから」
「何を心配するんですか」
「ワシのことさ」
「アナタの身に何かあったのですか?」
「いや、何もないさ。…….多分」
「ひょっとして、チチ・エヴァンジェリストに続いて、水木しげるさんが亡くなられて悲嘆にくれているのですか?」
「ああ、二人とも、100歳まで生きるのではないかと思っていたからな」
「しかし、今の時代でも90歳を超えて生きていらしたのは、稀なことなのですから、そんなに悲嘆しなくても…」
「悲嘆はしてないさ。そんなことではな」
「そんなことでは?....では、どんなことに悲嘆しているのですか。そもそも、『チョージュード』って何ですか?」
「おや、『チョージュード』を知らんのか」
「知りません。聞いたこと、ありません。意味が分りません」
「『チョージュード』は、『超重度』さ」
「えっ?『超重度』ですって」
「そう、『超重度』さ」
「何ですか、『超重度』って」
「ストレス・チェックだ」
「ああ、マダム・ウオーターメロンが8点で、まあ、当たり前でしょうが、問題なかった、というアレですね」
「そう、そのアレだ」
驚いた..........
「ストレス・チェックの結果が『超重度』だったんですか!」
「そうだ、産業医面談を勧められた」
「本当ですか?アナタが本当に『超重度』なんですか?」
「何故、疑う」
「だって、他人にストレスを与えることはあっても、アナタ自身にストレスがあるなんて」
「ほーら、君もやっぱりそうなんだ。皆、そんな感じでワシの『超重度』を全然心配しない」
「そりゃ、そうでしょ」
「こう見えて、ワシは繊細なのだ。実際、身体に異変も生じてきている」
「どんな異変ですか?」
「身体中に吹き出物のようなものができ、痒くて堪らない」
「どうせ、不潔だからか、ダニにでも食われでもしたのでしょ」
「し、し、失敬な!それに、最近、電車で座っていても、飛行機の座席についていても、身体がどこか痛く、どうにもしていられなくなるのだ。私の身体に、心に何かが起きてきている」
「それならそれでいいではないですか」
「ナヌ!?」
「そんな風に体調がおかしくなり、万が一のことでもあれば、アナタがお望みの『団信』適用となるではないですか」
「おっ!おおっ!確かにそうだな。そのことをすっかり忘れておった」
あああ、こちらの方がストレスが溜ってしまう。
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