エヴァンジェリスト氏は疲れてしまった。
2日前にアンカが壊れ、家電量販店にアンカを買いに行ったものの、冬の終りの今はもう(3月15日である)、暖房器具は殆ど置いてないのだ。
仕事のついでに寄った「みなとみらい」の「ノジマ」では、在庫処分であろうか、電気毛布や温風機がまだ少し展示販売されていたが、そこにアンカはなかった。
まだ寒いのに、これでは体調を崩してしまう、と気持ちが塞いでいるところに、あの男たちからクレームが入ったのだ。
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人差し指を突くように伸ばし、あの男が叫んだ。
「一体、どうなっているんですか!?」
関西訛りが入っている。
「『ショーンK』だなんて巫山戯てるじゃあないですか!『○○○○K』っていうネーミングは、ワタシ、『ヒトサシユビK』の専売特許でしょ!」
「いやあ、そんなことはないんじゃ….」
いつになく弱々しいエヴァンジェリスト氏の言葉を遮り、ヒトサシユビKはとんでもないことを言い出した。
「名前だけならまだしも、イケメンなところも真似てるとは、許せません!」
相変らずこの男につける薬はない、とエヴァンジェリスト氏は途方に暮れた。
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着衣から異臭を漂わせながら、あの男が叫んだ。
「一体、どうなっているんだい!?」
言い方はきついが、親しげな口調だ。
「学歴詐称だなんて巫山戯てるじゃあないか!学歴詐称は、ワシの専売特許であろう!」
「いやあ、君は学歴詐称はしてはないんじゃあないか。君は立派に、ハンカチ大学の商学部を卒業しているのでは…..」
自分を文学部西洋美術史科卒と未だに錯覚している友であるビエール・トンミー氏の着衣(どうやら噂のパジャマらしい)からの異臭に、エヴァンジェリスト氏はそれ以上、口を開いていることはできなかった。
「学歴詐称だけならまだしも、イケメンなところも真似るとは、許せん!」
相変らずこの男にもつける薬はない、とエヴァンジェリスト氏は途方に暮れたのであった。
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