2012年4月14日土曜日

【WWD】青春のハナヱモリ(その8)– 最終回





「おい、大丈夫か?眼、どうした?」

やけに眼をしょぼつかせながら会社(WWDジャパン)に入って来たヴィトン君に、先輩カリスマ氏が訊いた。

「眼を開けてたんです……」

前日よりも陽に焼けた精悍な顔ながら、半べそをかいたような表情でヴィトン君が答えた。

「?????」

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エヴァンジェリスト氏と同期で入ったピップ君は会社(WWDジャパン)を僅か1週間で辞め、ピップ・エレキバンのピップ藤本を経て(そこは1日で辞めたそうだ。なかなかの強者である)、損害保険会社に転職していった。

やはり同期で入った経理のコクテツ君父親と同じJR職員になるべく、1年余りでやはり辞めた。

もう一人の同期のヴィトン君は、既に紹介の通り、某有名デザイナーのところに広告の営業で行ったら、ある宗教の信者であるそのデザイナーに『教会』に連れていかれ、パンツ一丁にされ、水風呂に頭からつけられて、項垂れて会社に帰って来る等していたが、3年後にルイ・ヴィトンに転職していった。

先輩カリスマ氏は、しばらく後の「事件」の前に、ひどい老人性痴呆症になってしまった母親の看護をする為に退職した。

キタグニカラキタスパイデハナイ営業部長も、エヴァンジェリスト氏が辞めた後、3、4年後に独立したらしい。尚、エヴァンジェリスト氏は、退職にあたり、先輩カリスマ氏の計らいで、キタグニカラキタスパイデハナイ営業部長と『和解』していたのだそうだ。

2002年にハナヱモリ・グループが倒産した時(エヴァンジェリスト氏が在籍していた1979年から23年後である)、エヴァンジェリスト氏の知っている人は多分、殆どハナヱモリ・グループには残っていなかったであろう。

しかし、半年とはいえ在籍し、「営業」のスタートを切り(「飛込み営業」もし、ダイレクト・メールの手法も勉強し、広告ビジネスも知った)、そして、「マーケティング」に出会ったハナヱモリの倒産には、何ともいえない感慨がエヴァンジェリスト氏にはあったらしい。

WWDジャパンに対して、エヴァンジェリスト氏は何の貢献もしなかったが、僅か半年とはいえ、そこに居たことにより、色々な経験をさせてもらえ、色々な人に出会うことが出来た。

ハナヱモリ・グループ、WWDジャパンは、エヴァンジェリスト氏が今、所属する会社とは全く、商売も異なり、従業員の「人種」も異なる世界であり、今からすると、エヴァンジェリスト氏にとっては大変貴重な経験の時であったようだ。

これが、エヴァンジェリスト氏の『青春の営業』である。その数年後に、エヴァンジェリスト氏は、スティーブ(スティーブ・ジョブズ)、スカリー(ジョン・スカリー)に『出会う』ことになるのである。

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「日焼け器の中で眼を開けてたんです……」

ヴィトン君が説明した。

個人用の日焼け器で自分の顔を灼く際に、目を開けたまま灼いた為、目にやけどをおったのであった。

ああ、『青春のハナヱモリ』!


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