「●●●と申しますが、グソクさん、いらっしゃいますか?」
エヴァンジェリスト氏がとった電話の声は、女性のものであった。グソク・エヴァンジェリストの彼女でも女友達でもない。声で分る。明らかにビジネスの発声であった。
「出掛けてますが...」
「では、結構です」
「いいんですか?」
「はい、結構です」
マンションや墓地、インターネット回線のセールスの電話はよくあるが、それとは違う種類の電話であった。グソク・エヴァンジェリスト宛にそういった電話はかかってこない。
しかし、明らかにビジネスなものであるのに会社名を云わない。これも妙だ。しかし、ズボラで支払の督促状がよく来るグソク・エヴァンジェリストのこと、そういった類いの電話かと思ったが、なんだかしっくりこない。
ネットでその電話番号を調べると(ナンバー・ディスプレイで番号は分るのだ)、やはり怪しい種類の電話のようであった。グソク・エヴァンジェリスト自体が怪しい奴なので、直ぐには怪しい電話とは思わなかったが、今回に関しては電話の方が怪しかったようだ。
怪しい電話というと、エヴァンジェリスト氏も出張先のホテルで受けたことが幾度かある(氏は怪しい人間ではないが)。
それは、大阪心斎橋のあるホテルでのことであった。
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