2014年12月13日土曜日

「北極美術史を学ぶ!」….【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】




「昇天なんかしませんよ。あくまで勉強。勉強」

とビエール・トンミー氏は強弁する。

「ルーベンスで昇天ですか?」

と『ビエール・トンミー氏追跡特別チーム』の特派員から追求されたのだ。

「でも、ルーベンスなんて全然興味ありません。だから勉強なんです」

と意味不明の弁明をする。ルーベンスは、そう、『キリストの昇架』を描いた画家である。

ビエール・トンミー氏は年明けから、オープンカレッジでルーベンスについて学ぶのだ。講師は勿論、●●●子先生である。


●●●子先生の講義は、春のシリーズ、秋のシリーズについで、これで3シリーズ目である。

「まあ、貴方が昇天するのも無理はありませんね、●●●子先生って、ほんとお綺麗ですからね。素敵な先生ですものねえ」

●●●子先生を褒める特派員の言葉に、ビエール・トンミー氏は気分を良くしたのか….

「そうだ、●●●子先生はとても素敵だ。いや、綺麗だからじゃあないんだ。勉強だよ、勉強!●●●子先生の講義は凄いんだ。あんなに内容豊富で面白い授業って他にないんだ」

ビエール・トンミー氏は饒舌になった。

「来年度(4月から)は西洋美術史βをとって、再来年度はまた西洋美術史αを『再受講』してと繰り返していこうかなと考えているんだ。内容は西洋美術史だろうが、東洋美術史だろうが、アフリカ美術史だろうが、それこそ北極美術史だろうが、何でもいい

語るに落ちる、とはこのことだ。ビエール・トンミー氏は、特派員の罠に嵌ったのだ。

「あくまで勉強、勉強。決して昇天ではない」

と云うビエール・トンミー氏の目は既に昇天していた、と特派員は報告して来た。

特派員は更に付け加えた。

「トンミー氏は、その内、母校に再入学する、って云い出しかねませんよ。今度は勿論、文学部でしょう(トンミー氏は、商学部卒である)







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