二人に若い女性は、席に着くと、ホット・パンツの方は脚を組み、ミニ・スカートの方は伸びやかな脚を見せびらかすように斜めに流した。
「……」
ビエール・トンミー氏は、まだ口を噤んだままであった。
「……」
ホット・パンツの女性は、コーヒー「ブラジルサントス」と「モカフレンチ」を注文し、チーズケーキも頼んだ。
「……」
ビエール・トンミー氏は、iPhoneを見るふりをしながら、4本の美脚にチラチラと目をやっている。
「……そうだ」
ビエール・トンミー氏は、ようやく再び呟いた。
「そうなんだ。ボクはオープン・カレッジ通いとゴミ出ししかしていない訳ではないんだ」
いつの間にか、ビエール・トンミー氏の前にはコーヒー「エーデルワイス」が置かれていた。
「えっ!?」
チラ見が店員にばれたか、と不安になったが、気を取り直して呟きを続けた。
「そうなんだ。ボクはオープン・カレッジ通いとゴミ出しだけではなく、時にこうやって散歩をして駅前の喫茶店でコーヒーを嗜むのだ」
そうして、コーヒー「エーデルワイス」に満足の笑みを見せた。
(続く)
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