2014年12月21日日曜日

「エーデルワイス」を飲みながら(その3)….【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】



二人に若い女性は、席に着くと、ホット・パンツの方は脚を組み、ミニ・スカートの方は伸びやかな脚を見せびらかすように斜めに流した。


「……」

ビエール・トンミー氏は、まだ口を噤んだままであった。

「……」

ホット・パンツの女性は、コーヒー「ブラジルサントス」と「モカフレンチ」を注文し、チーズケーキも頼んだ。

「……」

ビエール・トンミー氏は、iPhoneを見るふりをしながら、4本の美脚にチラチラと目をやっている。

「……そうだ」

ビエール・トンミー氏は、ようやく再び呟いた。

「そうなんだ。ボクはオープン・カレッジ通いとゴミ出ししかしていない訳ではないんだ」

いつの間にか、ビエール・トンミー氏の前にはコーヒー「エーデルワイス」が置かれていた。

「えっ!?」

チラ見が店員にばれたか、と不安になったが、気を取り直して呟きを続けた。

「そうなんだ。ボクはオープン・カレッジ通いとゴミ出しだけではなく、時にこうやって散歩をして駅前の喫茶店でコーヒーを嗜むのだ」

そうして、コーヒー「エーデルワイス」に満足の笑みを見せた。


(続く)



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