「スッキーナー、ヒトーニー、ドオーゾー、アワセテエー」
今朝も夫はご機嫌だ。
この鼻ウタは聞いたことがない。しかし、「オッカーノウーエ…」同様、1970年代の匂いがする。(参照:「オッカーノウーエ…」….【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】)
「アイーノ、ホシーニ…」
丁度、一週間前も(2014年10月13日だ)、夫は「オッカーノウーエ…」とご機嫌だった。
今日(2014年10月20日)は、月曜日である。週の初めからどうしてこんなにご機嫌でいられるものなのか、とは思うが、一年前(2014年10月)、59歳にして仕事から完全リタイアし、優雅な老後生活を送っている夫には、曜日はもはや関係はないといえばないのだ。(参照:「ブレイボーイ」参上.....【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】)
「アータ、今日もご機嫌ねえ。何かいいことでもあったかしら?」
マダム・トンミーは、思い切って夫ビエールに訊いてみた。
「いや、何もないけど」
「そお…」
「まあ、今日は爽やかな秋晴れだし、女房は奇麗だし」
「まっ!」
マダム・トンミーは顔を赤らめ、思わず、頬を両手で隠した。
「まあ、アータったら、エヴァンジェリストさんの影響?」
「えっ?エヴァちゃん?」
「エヴァンジェリストさんって、還暦過ぎた今でも、奥さんに『アイシテル』とか『マイ・ハニー』って云ってるんでしょ?」
「うん、まあ、そんなことを云うと、奥さんには、キッと睨まれるらしいけどね」
「アータ,最近、エヴァンジェリストさんとまた友だち付合いをするようになって、影響を受けたんじゃあないの?」
「そうかなあ?君は嫌かい?奇麗って云われて?」
「まっ!嫌ではないけど、ちょっと恥ずかしいわねえ」
ビエール・トンミー氏は、もう夫人の言葉を聞くでもなく、『D.S.&DURGA』のフレグランス『BURNING BARBERSHOP』を両手首に浸けていた。
そして…
「じゃあ、行って来るね」
と玄関に向った。今日はオープン・カレッジの日なのだ。
「行ってらっしゃーい」
マダム・トンミーは、ご機嫌に夫を見送った。
……しかし、マダム・トンミーは、まだ分っていないのだ。
「アイーノ、ホシーニ、ネガーイーヲ…」
と唄うビエール・トンミー氏の心には、ある別の女性があったのだ。アグネス・チャンでもない、マダム・トンミーでもない、別の女性だ(「スッキーナー、ヒトーニー」は、アグネス・チャンの「草原の輝き」である)。
その女性の存在が、秋晴れ以上に、ビエール・トンミー氏の心を晴れさせていたのだ。
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