「まだまだ修行が足らぬようだ…」
東京駅の特派員から速報が入った。東北・上越新幹線のホームでのことらしい。
出張の為、ホームで新幹線を待っているエヴァンジェリスト氏が、「修行が足らない」と独りごちていたそうだ。
「太郎さんは流石だ」
太郎さん?誰のことだ?...と思っていたところ、続報が入った。
「志垣太郎です。志垣太郎がいました!あれは、多分、志垣太郎です!」
志垣太郎がどうしたというのだ?志垣太郎とエヴァンジェリスト氏とは繋がりがあるとは思えない。
志垣太郎は、オスカー所属である、石原プロとは関係ないはずだ。だから、エヴァンジェリスト氏とも関係はないはずなのだ。
「スーツは緑だな。負けた……」
そう呟いたという。ますます何のことやら分らない。
「志垣太郎は緑色のスーツを着ています」
そうか、そういうことなのか。
「オーラがあります。あれがスターなんですね」
特派員も興奮している。
そういうことなのだ。それがスターなのだ。一般人は、少なくとも普通のビジネスマンは、まず緑色のスーツは着ない。
しかし、スターは緑色のスーツを身にまとうのだ。石原プロ入りすると噂されるエヴァンジェリスト氏であるが、氏のスーツは、いつも濃紺無地だ。
猪木さんは、周知の通り、スーツに長~いマフラーを首から下げている。マフラーの色は大体は赤だが、緑のこともある。色は兎も角、他の誰もスーツに長~いマフラーを首から下げたりはしない。
スーツに長~いマフラーを首から下げているだけで、猪木さんと分る。それがスターだ。
一方、エヴァンジェリスト氏は、長~いマフラーを身につけないどころか、ネクタイもスーツ同様、濃紺無地か、黒っぽい無地のものだ。
それは、作家の山口瞳さんに影響を受けたからと聞いたことがある。普通のビジネスマンよりも地味だ。地味だが、シックなので、逆に目立つと云えば目立つ。
しかし、そこにスター性はない。オーラはない。
「まだまだ修行が足らぬなあ」
エヴァンジェリスト氏は再度、そうごちたそうだ。
「あ、志垣太郎が立ったまま脚をクロスさせました。オーラが増しました」
そうだ、それがスターというものだ。
エヴァンジェリスト氏よ、確かにアナタはまだまだ修行が足らぬようだ。
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