「ちっ!アイツのせいだ」
舌打ちしながらビエール・トンミー氏が呟いた、と特派員から報告が入った。『ビエール・トンミー氏追跡特別チーム』の特派員である。
しばらくなりを潜めていたビエール・トンミー氏がようやく現れたのだ。自宅に引きこもり、一切外出していなかったが、この夜、久しぶりに氏の任務であるゴミ出しの為、自宅から出て来たのだ。(参照:ゴミは不倫の匂い?…【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】)
「お久しぶりですねえ、トンミーさん」
特派員が声を掛けた。はっ、としたビエール・トンミー氏は、片手で自身の顔を隠しながら、その場を去ろうとした。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい」
特派員もここを逃してなるものかと、素早く身を動かし、ビエール・トンミー氏の行く手を塞いだ。
「9月5日から今まで、ご自宅にこもっていらしたのは、あの記事のせいですか?」
「ノーコメントだ」
「ブログ『プロの旅人』にあんなことを書かれたからですか?」(参照:若い娘(こ)が好き!.....[結果発表]ビエール・トンミー氏は何故、オープンカレッジに?【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】)
「五月蝿い!ノーコメントだ」
「オープン・カレッジに通うようにしたのが、現役女子大生目当てだと、バラされたからですか?合コンしたかったからだと…」
「合コンはしていない」
「でも、女子大生とイイコトしようとしたことが、奥様にもバレて大変だったんでしょ?」
「ちっ!アイツのせいだ」
「奥様からは『アータ、そんなに若い娘(こ)がいいの!?どうせ、ワタシなんておばあちゃんよ!』とでも云われましたか?」
「聞いてたのか?」
「奥様だって、その『若い娘(こ)』だったから、アナタの毒牙にかかったのにねえ、スクリュー・ドライバーで」(参照:【なれそめ】ヘンタイ、美女を落す!.....【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】)
「あんなに簡単に引っ掛かるとは思っていなかった…」
「『若い娘(こ)』好きだから、ロリコンとでも思われたのではないですか?」
「ボク、ロリコンではないのに….多分」
「ご近所では噂になっていましたよ。『トンミーさんのご主人って、ロリコンですって。ウチの娘にはトンミーさんちに近づいちゃ駄目よ、と云いましたの』なんて云われていますよ」
「女房も恥ずかしいったら、ありゃしない、と…」
「それで外出禁止令が出たんですね。でも、2週間経ってようやく夜のゴミ出し解禁ですか。でも、夜のゴミ出しはつまらないでしょ?」
「ああ、つまらない」
「でも仕方ないでしょ。朝のゴミ出しだと、アナタがご近所の奥様方を変な目で見るんですから」
「いまやアナタは、この界隈で、熟女好きのロリコン、という噂で持ち切りですよ」
「違うんだ!」
「完全にヘンタイと思われていますよ。オープン・カレッジに通うようにしたのも、実は、現役女子大生目当てだけではなかったんでしょ」
「ウッ…」
「投票(アンケート)結果では、女子大生目当て、となりましたが、実は美熟女目当て、でもあったんでしょ」
「美熟女なんていなかったのに。おばあちゃんばかりだ」
「でも、それって結果論で、熟したイイ女もいないかなあ、と思って通うようにしたんでしょ」
「ノーコメントだ」
「結果論から云うと、実は●●●子先生目当て、でもあったんでしょ」
「ウッ!ノーコメント、ノーコメントだ!」
「美人の誉れ高いらしいではないですか。●●●子先生って、美人で博識なんでしょ?」
「ノーコメントだ!」
「90分の授業中一度もメモを見ないで講義してくれるし、日によっては、1日で違う講義を四コマも持っているんですって」
「何故、そこまで…イヤ、ノーコメントだ!」
「大学の先生(博士)って凄いもんですね。●●●子先生には、プライベート・レッスンもして欲しいんでしょ?」
「ノーコメントだ!これ以上は、事務所を通してくれ!」
「●●●子先生にもスクリュー・ドライバーを飲ませるんですか?」
「ノーコメントだあああああああ!」
そう叫びながら、自身の前に立ちはだかっていた特派員を手で払いのけ、ビエール・トンミー氏は自宅に駆け戻った。
トンミー、遁走である。
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