「アイツは一体、どうしたのだ。会社で何かあったのか?会社で何か辛いことでもあるのか?」
ビエール・トンミー氏は、エヴァンジェリスト氏に問うた。
「アイツは、君の会社の同僚だろう」
「アイツ?」
「そう、この男だ」
ビエール・トンミー氏は、エヴァンジェリスト氏に一枚の写真を見せた。
「誰だ。この男は?」
「一般には『怪人2号』と云われている」
「『怪人2号』?」
「しかし、その正体は君の会社の同僚であることはワシには分っている」
「ド,ド,ドルトか?」
「そうだ、アイツだ。香水で分った」
「『BVLGARI pour homme』か?」
「臭くてたまらなかった!」
「ドルトが『怪人2号』であったのか」
「そんなことはとうに分っていたではないか」
「ドルトがどうしたというのだ?」
「『出家させて下さい』と云ってきたのだ」
「『出家』?意味が分からん。君が宗教団体でも主宰している訳でもないのに」
「ワシも驚いた。しかし、奴は云うのだ『変態の科学に出家します』、と」
「『変態の科学』?君はいつの間にそんなものを始めていたのだ」
「いや、知らん、知らん。ワシはそんなものをまだ始めてはおらん」
「まだ?....そうか、君は『変態道』を極め、ついに『変態の科学』なる宗教を興そうとしていたのか!」
「ウッ。知らん、知らん」
「最近、スコセッシの『沈黙』に影響され、宗教に関心を示していたと思ったら….」
「知らん、知らん、事務所を通してくれ!」
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