2017年2月15日水曜日

「あなたは『教祖』なのか?」【週刊聞醜・緊急質問状】



「アータ、変な郵便が来てたわよ」

帰宅した男は、夕飯の準備をする夫人に台所からそう声をかけられた。

「怪しいDMかしらねえ」

男が着ているのは、パジャマのようにも見えた。しかし、帰宅したばかりで着替えていないはずなのだから、パジャマではないのかもしれない。

男は、食卓に置かれた郵便を手に取った。

「ビエール・トンミー様」と書かれた封書であった。

確かに、自分宛の郵便であることを確認すると、封書を裏返した。

差出人は、「週刊聞醜」とあった。

週刊聞醜?週刊誌か?なんと読むのだ?『しゅうかん・もんしゅう』?いや、『しゅうかん・ぶんしゅう』か…

『醜聞』をひっくり返したのか?怪しい。『しゅうかん・ぶんしゅう』って、まるで『しゅうかん・ぶん….』みたいだ。ますます怪しい。

恐る恐る封を開けた。

中には紙が1枚入っていた。送付状も何もなく、ただ、入っていたのは、次のものであった。


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        『週刊聞醜・緊急質問状』


ビエール・トンミー氏に訊く。以下の質問に正直に答えよ。回答は、同封の封筒に入れ、返送せよ(切手代は自分で持て)。


質問1
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あなたが、宗教団体「変態の科学」を創設したことは事実であるか?


質問2
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あなたは『教祖』なのか?或いは、『総裁』なのか?もしくは、『会長』なのか?それとも『グル』か?


質問3
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「変態の科学」の本尊は、『エロ・ヘンタイーレ』であるのか?


質問4
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あなたが宗教への道を歩み始めたのは、スコセッシ監督の映画「沈黙』を見て、感動したからなのか?


質問5
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スコセッシ監督の映画「沈黙』を見た後、「沈黙」を見て抱いた以下の疑問を、友人でありフランソワ・モーリアックの研究で有名なカトリック文學者であるエヴァンジェリスト氏に呈したのは、「変態の科学」の教理を創る為であったのか?



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沈黙を見ました。

感想は「感動した」では安っぽいし「面白かった」ではもちろんない。「映画館を出ても余韻が消えない」とでも表現すればいいのでしょうか。

 江戸時代初期の日本のキリスト教弾圧をテーマにした3時間近くの映画を見てくださいとは人に勧めにくいし、娯楽作品としての魅力はほとんど無かったけどこの映画は是非とも見る映画だったと思いました。

最後のエンドロールがずっと波の音だったから気づきましたが、この映画には音楽が無い。虫の声なとの自然の音ばかり。ここで「さあ感動しろ」などと音楽が場面を盛り上げていたら興醒めだったでしょう。

他のハリウッドが馬鹿らしく思えました

よく分からなかった点がいくつかあります。今から列挙します。

フランス文學界の最高峰のOK牧場大学大学院の修士にて遠藤周作の権威はどう考えますか。



(1)キチジロウは棄教を続けながら何故ロドリゴに付きまとって懺悔を続けるのか。 

(2)ロドリゴが信者のために棄教したのはカトリックの考えでは正しいのか。

(3)ロドリゴが踏み絵を踏む時、キリストの「踏むがいい。私は踏まれるために生まれて来た」という言葉を聞くけれど、これでは神に従ったので棄教と言えないのではないか。

(4)ロドリゴはその時心の中で本当に棄教したのか。

(5)映画ではロドリゴは棄教した生活をしていたが最後の火葬のシーンで十字架を握っていて本当は棄教していない事を暗示していた。これは説明的過ぎないか。原作もそうなのか

(6)本来多神教でかつ仏教徒の日本人がカトリックの絶対的な神と個人が向き合う考えを何故受け入れたのか。踏み絵を頑なに拒んで殉教するのは欧米の映画では自然に受け入れられるが日本の農民だと違和感を感じる。

(7)隠れキリシタンは本当のカトリック教徒だったのか。天国に行くのと極楽に行くのはどう違うと考えていたのか。フェレイラは日本人が敬っているのは「大日様」だど言っていた。

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質問6
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怪人2号が「変態の科学」への出家を望み、怪鹿が入信を申し出ているのは、あなたの差し金か?「変態の科学」の関連会社として芸能事務所も設立しようとしているからなのか?怪人2号は、ショーンKに似ていると云われているし、怪鹿は人間鹿という他に類を見ない存在であり、共にスター性がある為、設立する芸能事務所の所属タレントにするつもりなのではないのか?



以上、さあ答えよ!


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手が震えた。

それは、「以上、さあ答えよ!」という物のいいように対する怒りであったのか………いや、それは恐怖であったのかもしれない。

「ど、ど、どうして知っているのだ…..エヴァにした質問を何故、知っているのだ」

こんな怪しい質問状なんて無視すればいいのだが、答えなればどうなるのか………

ビエール・トンミー氏は、鼻歌まじりで料理をする夫人に動揺を悟られないよう、台所に背を向けたまま自分に部屋に入って行った。







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