2017年2月19日日曜日

「変態霊インタビューをしませんか」【週刊聞醜・緊急依頼状】




「アータ、また、変な郵便が来てたわよ」

帰宅した男は、夕飯の準備をする夫人に台所からそう声をかけられた。

「きっと、怪しいDMよ。エロ・ビデオのセールスじゃあないの?」

男が着ているのは、パジャマのようにも見えた、というか、パジャマであった。帰宅したばかりで着替えていないはずなのだから、パジャマではないのかと思われるであろうが、男は、「パジャマで外出する男」なのである。




しかし、もう2週間は洗濯をしていないので、男の体は異臭を放っていた。

『きっと、またアソコからだ』

男は、そう確信し、食卓に置かれた郵便を手に取った。

「ビエール・トンミー様」と書かれた封書である。

そして、やはり差出人は、「週刊聞醜」であった


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「変態の科学」教祖にして『総裁』であり『会長』であり『グル』ある
ビエール・トンミー様


   『緊急依頼状:変態霊インタビューをしませんか』


感銘とはこのことを云うのだと初めて知りました、先生。

先生の「回答状」程、世界の真理を教えるものはないでしょう。

ロマン・ポルノ「団地妻 昼下がりの情事」が、スコセッシ 監督の「沈黙」に繋がるとは、白川和子も、遠藤周作もスコセッシも予想だにしなかったでしょう。

先生は、世界を変える力をお持ちの方です。怪人2号や怪鹿が「変態の科学」に出家、入信を望むのも必然です。

そこで、先生にお願いがあります。

先生の教えでは、世の総ての者は変態であるそうですね。皆、自身も知らぬ内に、変態霊に取り憑かれている、と云うか、各個人の変態霊に守られているのでしたね。

先生には、その変態霊にインタビューをして頂きたいのです。


弊誌「週刊聞醜」で、「変態霊インタビュー」をして頂けませんでしょうか。先ず、第1弾として、●●●子先生の変態霊へのインタビューは如何でしょうか

いいお返事をお待ちしています。


週刊聞醜
編集長
トビマス・トビマス

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「週刊聞醜」(しゅうかん・ぶんしゅう)からの質問状に回答はしたものの、「週刊聞醜」なる週刊誌はまだ見たことはない。




書店も何店か見て回ったが、どこにも置いてなかった。店員に聞いても、

「ああ、週刊文春なら、雑誌コーナーにあるはずですが」

と勘違いされるだけであった。

コンビニにも駅の売店にも見当たらなかった。


しかし、今回もビエール・トンミー氏の手は震えた

「ど、ど、どうして知っているのだ…..●●●子先生のことを、●●●子先生と自分とのことを、トビマス・トビマスという奴は、どうして、知っているのだ」

こんな怪しい依頼状なんて無視すればいいのだが、依頼に応じなればどうなるのか………




ビエール・トンミー氏は、鼻歌まじりで料理をする夫人に動揺を悟られないよう、台所に背を向けたまま自分に部屋に入って行った。







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