「ふうううん、そうだったのねええ」
な、なんだ、なんだ….
「変だと思ってたのよ」
妻の思わせぶりな言葉に、何故か怯えてしまっていた。
「アナタ、若い娘好きだものね」
うっ。ビエール・トンミー氏は、身に覚えはなくはなかった。●●●子先生のことか…..でも、今になって何故….しかも、まだ先生とは何も…..
「あんな臭いものをどうしてなの?とは思っていたのよ」
は?臭いもの?
「何週間も洗濯もさせないし」
は?は?洗濯?●●●子先生のことではないのか…..
「泉ちゃんとだったのね、まさか、だったわ」
へ?へ?泉ちゃん?
「ひかり(星)ちゃんでは、若すぎるものね」
ひ?ひ?ひかりちゃん?
「森泉って、もう34歳だそうだけど、森星(もり・ひかり)って、泉ちゃんの10歳下だから24歳だもの。さすがのアナタも24歳は若すぎでしょ?」
そうだ。昔は、24歳も『射的圏内』であったが、こちらも歳をとったので、今は30歳台半ばが『下限』だ。…しかし、何故、森姉妹の話になるのだ?
「聞いたわよ、昨夜の(2017年2月27日の)『しゃぺくり007』で」
て、て、テレビの話か。
「森泉もパジャマで外出するんですって」
ほ、ほ、ほうそうなのか。
「しらばっくれてもダメのことよ!」
何を云いたいのだ、妻は?
「アナタがパジャマで外出するのは、森泉とデートする為だったのね!」
ええ、ええ、ええ、そんな疑惑だったのか。
「隠そうとしても無駄よ、分ってるんだもの。アナタ、最近、これまで以上に、エヴァンジェリストさんに会ってるでしょ」
まあ、エヴァとのことはその通りだが。
「エヴァンジェリストさんって、森泉の知り合いなんでしょ?」
いえ、それはちょっと違う。エヴァは、彼女のお父様(「森顕」(もり・あきら)氏)のことは存じ上げていると聞いている。「アキラ」さんは以前、奴の上司であったからだ。
しかし、エヴァの奴は、森泉さんと面識はないはずだ。それに、エヴァが森泉さんの知り合いだったとしても、どうだというのだ。
「アナタ、エヴァンジェリストさんに森泉を紹介してもらったのね!その為に、エヴァンジェリストさんに頻繁に会ってたのね」
そ、そ、そういう発想か。エヴァと会っているのは、奴が病気で、その『治療』の為のようなものなのだ。友情の行為なのだ。
「アナタ,それで森泉みたいに、パジャマで外出するようになったのね、フン!」
も、も、妄想だあ!
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ビエール・トンミー氏は、iMessagaの着信音に目を覚ました。汗をかいていた。
「君、昨晩の『しゃぺくり007』を見たか?」
エヴァンジェリスト氏からのメッセージであった。
そうか、そうだ。夢か、夢だったのだ。
昨晩、『しゃぺくり007』を見たのは自分であった。自分だけであった。妻は、その時、ソファで居眠りしていた。
ホッとした。妻が、昨晩の『しゃぺくり007』を見ていたら、正夢になっていたかもしれない。妻は今でも、自分のことを恋人のように思っているからだ。
「君は、いつから『いずみ』ちゃんと関係を持つようになっていたのだ?」
エヴァンジェリスト氏は、相変らず巫山戯たメッセージを送ってきていた。
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