(夜のセイフク[その5]の続き)
「『何会』ってね……..」
1970年の広島県立広島皆実高校1年7ホームの教室で(クラスのことを皆実高校では『ホーム』と呼んだ。今もそうかもしれない)、ビエール・トンミー君は、昼休みに同級生のエヴァンジェリスト君から『何会』の説明を受けようとしていた。
「何の『会』でもあるし、何の『会』でもないのさ」
小学校でも中学校でも、ビエール・トンミー君は、教師が説明することは総て理解した。いや、教師が説明する前にその内容を既に理解していた。教師の説明の間違いや曖昧さに気付き、それを指摘することもあった。
しかし………
「何の『会』でもあるし、何の『会』でもないのさ」
というこの美少年の同級生が放つ言葉は、理解を超えた。まさに『ナンカイ』であった。
「よく分らないんだけど….」
待ってました、とエヴァンジェリスト君は、友人の眼を凝視め、云った。
「ビエ君は、何の『会』がいいと思う?」
質問に対し質問で返すという卑怯というものを、ただただ頭脳明晰であっただけの当時のビエール・トンミー君は、まだ知らないでいた。
「???」
(続く)
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