(夜のセイフク[その15]の続き)
「(ミージュ君も、楽しみにね)」
1970年の広島県立広島皆実高校1年7ホームの教室の片隅で、その日もジロチョー君に何かを見せられているミージュクージ君を見遣って、心の中で呟いたものの、ビエール・トンミー君も、楽しみにするのは何であるのか、勿論、分っていなかった。
「もうしばらくだからね。もう少しだけ待ってね」
と、エヴァンジェリスト君に、(多分)自分だけ耳元で囁かれたビエール・トンミー君は、もうすっかり『何会』の共同創始者気分になっていたのだ。
実は、ビエール・トンミー君もエヴァンジェリスト君も知る由がなかったが、ほぼ同じ時期に(正確には、1年後の1971年であるが)、二人のスティーブは出会ったのである。
スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウオズニアックである。『Apple』の共同創始者である。二人の天才である。
しかし、広島皆実高校1年7ホームの二人の美少年は、『Apple』のような世界を変えるものを生み出しはしなかった。高校時代は勿論、その後の人生に於いても。
しかし、敢えて、この二人の美少年が生み出したものがあるとすると、このBlog『プロの旅人』であろうか。
Blog『プロの旅人』は、この二人の美少年(今やただの醜い変態老人たち)の行状記だからである。
尤も、『Apple』と異なり、Blog『プロの旅人』は、世界を変えるどころか、ほんのちょっぴりも世界の役に立つ要素はない。
しかし、
「もうしばらくだからね。もう少しだけ待ってね」
と、エヴァンジェリスト君に、(多分)自分だけ耳元で囁かれた時、ビエール・トンミー君には、何か志のようなものが芽生え始めていた。
「(そうだ、『何会』だ。『何会』は、人々に楽しみを、喜びを与えるのだ)」
と。
(続く)
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