(夜のセイフク[その18]の続き)
「(…….)」
心の中の呟きもなく、美少年ビエール・トンミー君は、小首を傾げた。
「ふふ……」
机の横に立つもう一人の美少年が、鼻から微かに笑いを零した。
「(『何会』…….)」
机の上に置かれた見すぼらしい冊子のようなもの、そう、ちぎったノートのページをホッチキス止めしたものの表紙には、『何会』と書いてある。
「(『何会』の『何』なんだ、これは?)」
ビエール・トンミー君は、『何会』のマジックの渦に吸い込まれていっていた。
1970年の広島県立広島皆実高校1年7ホームの教室である(クラスのことを皆実高校では『ホーム』と呼んだ。今もそうかもしれない)。昼休みであった。
「(そうか…….会則かあ……)」
見すぼらしい冊子のようなものは、『何会』の『会則』ではないかと思ったのだ。
「(『何会』の特別会員は、美少年、または、美少女に限る、とでも書いてあるのだろう)」
(続く)
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