(夜のセイフク[その8]の続き)
しかし、ビエール・トンミー君は、不満であった。
「(どうして、彼が会員なんだ?)」
1970年の広島県立広島皆実高校1年7ホームの教室で(クラスのことを皆実高校では『ホーム』と呼んだ。今もそうかもしれない)、昼休みに、眠たげにジロチョー君に何か見せられていたミュージ君こと、ミージュクージ君を見て、疑問、というよりも不満な感情を持ってしまった。
「みんなで仲良くやろうよ!」
エヴァンジェリストの君の言葉には、屈託というものがなかった。
「(何を仲良くやるのだ?)」
自分が会員にされてしまった『何会』って、何をする『会』か分らないのだ。それなのに、何を仲良くやるのか、ビエール・トンミー君には、理解できなかった。
しかし、今は、『何会』が何をする『会』なのかという根本的疑問よりも目先の疑問に囚われてしまっていた。
「(どうして、彼が会員なんだ?)」
ミージュクージ君は、別に悪い奴ではない。ビエール・トンミー君も、そのことは分っていた。しかし、
「(違うだろ!?)」
と思わざるを得なかったのだ。
(続く)
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