火曜日、水曜日は、つまらない。ゴミの日でないからだ。
59歳にして悠々自適な老後生活に入ったビエール・トンミー氏(参照:「ブレイボーイ」参上.....【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】)の唯一といっていい楽しみは、ゴミ出しなのだ。
ビエール・トンミー氏の自宅地域のゴミ出し日は、以下の通りだ。
月 燃やすごみ
火 なし
水 なし
木 プラスチック製容器
金 燃やすごみ
土 缶・びん・ペットボトル
そう、火曜日、水曜日は、ゴミ出し日ではないのだ。
悠々自適な老後生活に入った当初、ゴミ出しは、妻から命令されたものであった。
「あーた、何もやることないんだから、ゴミ出しくらいやりなさい」
「いや、男がそんなことを…」
「つべこべ云わず、やるのよ。自分が粗大ゴミとして出されたくないんだったらね」
致し方なく始めたゴミ出しでしであったが、これが程なく、楽しみとなったのだ。
ゴミ集積場所が、近所の奥さん連中との交流の場になったのだ。
日によって顔をあわす奥さんは異なるが、熟女あり、新妻あり、美人あり、顔はともかくグラマラス・ボディの持ち主あり、なのだ。
「おはようございます」
と声をかけられる。グラマーな奥さんだ。
「あ、おはようございます」
「お偉いですわね、ご主人がゴミ出しされるなんて」
「いや、まあ」
「ウチのなんて、燃えるゴミ、燃えないゴミの分別すらできないんですのよ」
「まあ、そのくらいはねえ」
と頭を掻く。
ゴミ袋を置くのに、奥さんとの距離が近くなる。
もうしばらく妻からは感じることもなくなった女の香を近距離で感じて、妄想が膨らみ始める。ゴミ袋を置く際に前屈みになった奥さんの胸の谷間が見え、妄想は更にかき立てられる。
「あら、イヤですわ。ご覧になりましたのね」
「いえ、見えてませんよ」
「いいんですのよ。主人は見てさえくれないんですから」
「ええ、そうなんですか。そんな立派なものをお持ちなのに」
「ほら、やっぱりご覧になったのね」
「いや…」
「いいんですのよ」
「え!?いいんですか」
「ええ、いいんですのよ。お触りになります?」
「いや、さすがにここでは…」
「では、今度、別のところで」
と妄想しているうちに、
「おはようございます」
と別の奥さんがやって来る。
今度は新妻だ。まだ眠そうだ。
『若いからなあ、昨晩も励んだのだろう。いいなあ。励みたいなあ(妻とはしばらく、ない)。でも、体が持つかなあ、こんな若いヒトと…ラサール石井が羨ましい」
こうして妄想の膨らむゴミ出しが、ビエール・トンミー氏には楽しみとなっていったのだ。
『さて、今日(金曜日)は、缶・びん・ペットボトルだ』
不埒な奴め。君をがゴミ出し妄想をしている頃、そう、近所の奥さんの匂いを嗅いでいる頃、シガナイ再雇用者の私は(参照:「僕は自殺しない」……..再雇用者の呟き)、満員電車で加齢臭のオジサンたちに囲まれているのだ。
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