「嘉納伝助になる!」
エヴァンジェリスト氏が叫んだ。
このところ、友人のビエール・トンミー氏に「妄想王」のお株を奪われかけて慌てたのか(参照:大人SMAP!?...「SMAP解散危機」に対処(後編)【ビエール・トンミー氏の優雅な老後】)、わざわざ私のところに、そう云いに来た。
「ワシは、嘉納伝助になる!」
「ああ、NHKの朝ドラ『花子とアン』に出てくる石炭王の嘉納伝助ですね」
「ああ、そうたい」
「妙な九州弁は止めてくれますか」
「よかよか、気にせんでよか」
「実在の炭坑王で、福岡銀行も設立したと云われる伊藤伝右衛門をモデルにしたんですよね、嘉納伝助は」
「そげんかこつ、どげんでもよか。とにかく、ワシは、嘉納伝助になるたい!」
「ああ、分りました。嘉納伝助が、別れた女房の蓮子のことで騒ぎ立てる蓮子の兄や、自分の部下たちに対して云ったんですよね、『いいか!よ~く聞け!蓮子のこつはこれでしまいにする。あいつはこの嘉納伝助が一度は惚れて嫁にした女やき 手出しする奴がおったら俺がただじゃおかんぞ!末代まで一言の弁明も無用!』と。これで、嘉納伝助は男を上げましたからね。モデルの伊藤伝右衛門も同様の発言をしたようですが」
「はあ?」
「そんな侠気を見せた嘉納伝助みたいになりたいんですね?」
「はあ?」
「えっ!?違うんですか?」
「嘉納伝助になれぬのなら、蓮子になってもいい。その場合、ワシは嘉納伝助のもとを離れ、宮本龍一と出奔したりはしない」
「国木田独歩の玄孫であり、また、『花子とアン』のナレーションをしている美輪明宏に見出されたと云われる中島歩が演じる蓮子の駆落ち相手の宮本龍一ですね。でも、そもそもアナタは男なんだから、嘉納伝助の妻には….」
「説明が長い!一体、誰に説明しているのだ。そんなことはワシは興味がない。嘉納伝助のもとを離れるなんて勿体ないではないか」
「えへっ!?アナタまさか、嘉納伝助が金持ちだから…」
「とにかく、ワシは、嘉納伝助になるたい!」
ああ、またまた呆れてしまった。
エヴァンジェリスト氏は、嘉納伝助のような金持ちになりたいだけなのだ。或は、嘉納伝助の、もしくは、嘉納伝助のような男の妻になりたいのだ(自分が男なのに、でもゲイでもないのに、男の妻になるなんて妙な人だ)。
嘉納伝助の侠気に感銘したのかと思ったのだが…まあ、生活に困窮しているのだから分らなくはないが(参照:「僕は自殺しない」……..再雇用者の呟き。)。
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